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2003年06月30日(月) 00時00分

電子メールで119番 熊本市が導入計画朝日新聞・

 声が出ない私たちでも119番が使えたら−−聴覚障害者やのどの手術で声が出ない人のための緊急通報システムとして、熊本市は、携帯電話の電子メールを使った方法の検討を始めた。6月議会で設置が認められれば、10月1日から運用を開始する見込み。先行する自治体では「安心して外出できる」と好評だ。

 「火事だ」「人が車にひかれた」。緊急事態に遭遇したが、健常者がまわりにいない場合。あせらずに、携帯電話のメール画面を開く。通報専用のアドレスあてに、(1)いつ(2)どこで(3)誰が(4)どうした、と順に入力して送信。メールを受信した熊本市消防局のパソコンは、光とサイレンで職員に伝える。内容を確認した職員は、より詳しい位置や状態などを問い合わせる返事を出す−−。電話が文字になっただけで、簡単そうだ。

 同市消防局の田中良介・情報管理係長は「聴覚障害者はメール交換が会話の代わりになっており、抵抗無く導入できるだろう」と話す。ただ、「緊急時に冷静にメールのやりとりが出来るかどうか」と不安は残る。

 聴覚障害者用には、これまでもファクスによる通報システムが使われているが、家族が電話することが多く、年間の利用件数は1、2件。メールシステムでは外出時でも対応できるため、活用範囲が広がる。また、利用者本人が事故に巻き込まれたり、体調不良になったりした時にも有効だという。

 いたずら防止のため、アドレスの公開は事前に登録した対象者に限定する。導入はインターネットを利用して簡単にできる。

 政令指定都市で初めて、02年7月から運用を開始した福岡市消防局。導入のきっかけは01年、市内のガソリンスタンドで灯油にガソリンが混入した事件だった。市は広報車などで注意を呼びかけたが、聴覚障害者の耳には届かなかった。同局では通報を受け付けるだけでなく、大規模な火災やタンクローリー火災など、災害警報も発信している。

 年間経費はプロバイダー料や回線使用料など約7万円。今のところ通報例はないという。指令課の古屋光男係長は「携帯電話を持つだけで、いつでも通報できるという安心感が生まれる。利用者の中には、気軽に外出できるようになったと喜ぶ声も聞く」と効用を説く。

 消防庁防災情報室によると、電子メールによる通報システムは、4月現在で全国9自治体が導入。通報実績がほとんどないため、予算が付かずに実現しなかった自治体もあるという。防災情報室の細川直史課長補佐は「まだ試験段階。全国的な動きまではなっていないが、障害者の自立につながれば」と話す。
(6/30)

http://mytown.asahi.com/kumamoto/news02.asp?kiji=2517