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2003年06月30日(月) 03時02分

日本道路公団大口割引、5年で1兆円 団体急増、差益も朝日新聞

 高速道路の通行料金が最大で約3割安くなる日本道路公団の「通行料金別納制度」による減収が、97〜01年度の5年間だけで1兆789億円にのぼることが公団の文書で明らかになった。割引を得ることを主な目的につくられた事業協同組合の急増など想定外の利用が進み、多額の差益を得ている組合もある。その額は朝日新聞の試算で年数百億円にのぼり、本来の目的を外れて使われているケースもある。この制度は「一般ユーザーへのサービスと比べて不均衡」などと指摘されてきたが、公団側は問題を事実上、放置してきた。

 公団には負債の利子補給などで年間数千億円の国費が投入されている。別納制度は大企業のほか、中小企業が集まってつくる事業協同組合が主な対象。一定の保証金を公団に預け、利用する車を登録すると高速道路で使えるカードを交付され、利用額に応じて5〜30%が割り引かれる。

 組合の場合、例えば月の利用額が10万円の事業者が100社集まると、1000万円利用したのと同じ割引を全社が受けられる。

 朝日新聞社が情報公開請求で入手した公団の資料などによると、別納制度の利用額は年間2兆円にのぼる料金収入の4割に達し、01年度までの5年間の割引額は毎年2000億円強。01年度の場合、このうち事業協同組合分が1796億円と8割を占め、平均割引率は約29%だった。

 公団は当初、運送業者などの組合を想定していたが、80年代半ばから別納制度の利用を主な目的に「異業種組合」が相次いで結成された。割引率をハイウェイカード(発売中止の5万円券で13.8%)よりやや高めに設定、月ごとの精算で後払いになることなどをPRして組合員を増やした。

 この結果、事業協同組合は89年度に771だったのが、01年度に1187に急増。うち数百が異業種組合とみられる。割引額も89年度のほぼ3倍になった。

 事業協同組合は組合員向けの割引率を自由に決められる。朝日新聞の取材に応じた複数の組合関係者や各組合のホームページなどによると、組合員に提示している割引率は十数%程度だ。ところが公団から受けている割引は最大30%、平均29%で、各組合とも差益を得ている。割引の総額や割引率の差、組合数などから、差益は全体で年数百億円規模になるとみられる。中には、組合代表の個人会社に出資するなど、差益を不透明な形で運用している組合もあった。

 一般ユーザーに比べて事業者が大きな割引を受ける別納制度については、95年の道路審議会中間答申で「均衡を考慮し、制度の見直しを検討する必要がある」と指摘されるなど、問題視されてきた。昨年12月の経営改善委員会でも公団側の出席者が「事業協同組合への割引額についてはいろいろな問題をはらんでいる」と発言している。

 道路公団の02年度の高速道路料金収入は前年度より約247億円減り、2年連続の減収。03年度の業務収入は前年度予算より約224億円減る見込みで、経営改善は急務だ。

    ◇

 通行料金別納制度 日本道路公団が発行するカードを利用することで、1カ月分の通行料金を一括して翌月末に後払いできる制度。月利用額が1万4000円を超える部分について5%の割引率が適用され、7万円、70万円、140万円、280万円と利用額が増えるにしたがって段階的に5%刻みで割引率が上がる。700万円を超える部分が最大30%引きになる。その他の制度には、87年に導入されたハイウェイカードがあるが、割引率の高い5万円券(13.8%引き)と3万円券(7.7%引き)は2月末に発売が中止された。昨年始まったETC車載器による割引も最大13.8%にとどまり、別納制度の割引率が極めて高い状況にある。(06/30 03:01)

http://www.asahi.com/national/update/0630/003.html

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