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2003年06月28日(土) 00時00分

医療ミス 繰り返す医師に厳罰を 東京新聞

 重大な医療ミスを繰り返す「リピーター」医師には、医師免許取り消しを含めて厳格に臨むべきだ。同時に、医師の行政処分を審議する厚生労働省の医道審議会の透明性を高める必要がある。

 出産直後の麻酔が原因で妻が寝たきりになった三重県四日市市の小学校教諭が二十六日、厚労省にリピーター医師の行政処分を求める署名を提出した。教諭の妻が出産した産科医院では、ほかにも医療ミスで二件の民事訴訟が係争中という。厚労省は、こうした訴えを重く受け止める必要がある。

 医師免許取り消しなどの行政処分を決める厚労省の医道審議会の対象は、これまで罰金刑以上が確定した刑事事件か、高額・悪質な診療報酬の不正請求に限られてきた。同じ医師が民事裁判で医療ミスの過失を何回認定されても処分の対象外で、明らかにバランスを欠いていた。

 米国ではミスを何度も起こすと民間損保の加入が大幅に制限されるなど抑制効果が働いているが、日本ではそこまで徹底していない。

 そうである以上、厚労省が医療現場からのリピーター医師の排除に乗り出すべきだ、との小学校教諭らの訴えはもっともである。

 こうした要求は以前からあり、厚労省は昨年末、従来の方針を転換し、刑事事件にならないリピーター医師も行政処分の対象に加えることにしたが、どう実効性を持たせるかについての検討はこれからだ。

 現在、厚労省による行政処分対象医師の把握は、新聞報道に依存しているため、示談で済ませたケースは表面化しにくい。このため、どの医師がリピーターか、医療ミス訴訟を担当する弁護士さえ把握できず、被害の拡大を許してきた。

 厚労省は行政処分担当の専門部署を設けるほか、本年度から都道府県に設置される「医療安全支援センター」で、医療相談などとともに、医療ミスに関する情報収集を始めるが、これだけでは不十分だ。医道審議会自体を改組する必要がある。

 医道審議会は委員十人で構成されているが、大半が医師、歯科医師、厚労省OBで占められ、しかも審議は全くの非公開である。処分基準を明らかにしたうえ、医療ミス被害者や医療訴訟を手がける弁護士らを加えるべきだ。

 さらに審議会の透明性を高めるために、一定期間が経過したあと、どのような経緯で処分が決まったのかがわかるように、プライバシーにかかわる部分を除いて議事録を公開するように改める必要がある。

 現状のままでは、「医師に甘い」というそしりは免れないだろう。


http://www.tokyo-np.co.jp/00/sha/20030628/col_____sha_____002.shtml

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