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2003年06月26日(木) 07時06分

福島農薬誤記問題 県が「安全宣言」 新たな誤使用なし河北新報

 福島県農作物病害虫防除基準の表記に農薬取締法に反する誤りがあった問題で、同県は25日、誤記のあった農薬の使用状況を調べた結果、新たに不適切な農薬使用は確認されなかったと発表した。野地陽一農林水産部長は「県産農産物を安心して消費していただけると判断した」と、事実上の安全宣言を行った。

 県は農協などと協力し、17日から誤記のあった19作物のうち、調査済みのブロッコリーを除く18作物を栽培する農家12万2774戸、作付面積9万5176ヘクタールの農薬使用状況を調査した。その結果、すでに公表した2戸の使用農家以外に、使用例はなかった。2戸の農家に対しては栽培中止などの措置を取り、安全性に問題は出ないという。

 県によると、誤記のあった農薬はあまり使用されない種類だったり、各農協が独自の防除基準を作ったりしていたため、誤った使用が少なかったという。
 県は今後、同基準の改訂版を作成して県内の各農協などに配布するとともに、再発防止に向けた本格的な原因調査を行う。

◎県のずさんさ露呈/基準編成作業見直し急務
 福島県農作物病害虫防除基準の表記誤り問題では幸い、農薬が不適切に使用された例は2件にとどまった。しかし、ずさんな基準編成作業の結果、県が農家に無登録農薬の使用を指導する事態を招き、県民の不信は強い。
 福島県の野地陽一農林水産部長は20日の県議会農林水産委員会で「県産農産物の信頼を損ねる事態を招き、お恥ずかしい限りだ」と述べ、頭を下げた。委員会では非難が相次ぎ、「東京電力の原発不正行為と大差ない」と言う委員もいた。

 防除基準は、農林水産省の農薬の登録状況を基に、県が農作物約80種の使用できる農薬名や使用時期、分量などを定めている。記載されている農薬数は600以上で、各農協や農家が基準を参考に防除計画を作成している。ミス発覚後、県内の一部のスーパーが、誤記のあったサヤエンドウを店頭から撤去するなど、生産農家や流通業者に大きな波紋が広がった。
 誤記が明るみに出たのは、6日にホームページ上の基準を確認していた県職員がブロッコリーの基準の誤記に気付いたのが発端。基準を総点検した結果、誤りが次々と判明した。
 ナシやリンゴの農薬として登録されている殺虫剤「MR・ジョーカー」が、本来使えないモモでも使用できると記したり、キュウリの成育中に1回だけ使用する殺虫剤「アドマイヤー1粒剤」の使用回数を4回としたり。単位のリットルをミリグラムとするなどの誤記も300件以上見つかった。

 本格的な原因調査はこれからだが、単純な見間違えや確認不足が多かったと言われており、職員の緊張感の欠落、ずさんな編成作業の実態が浮かび上がった。
 農薬の国への登録は3年程度で更新され、その間細かな使用規定の改訂もある。全体で約5000種に上る農薬の登録状況は変化が著しく、防除基準は毎年改訂する必要がある。作業は県の専門職員を中心に組織する基準編成委員会が約3カ月かけて行うが、「国の基準の細かな改訂を怠っていた可能性が高い」(県循環型農業グループ)という。

 委員会の下部組織として作物別に六つの部会を設け、各部会の編成作業を委員会でチェックする体制をとったはずだったが、部会の編成作業を素通りさせていた可能性も指摘される。野地部長は「農薬を日常的に取り扱ううち、農薬は毒との意識が欠けていったのかも知れない」と言う。
 無登録農薬が使用された問題を受け、改正農薬取締法が3月に施行された後、農薬使用基準の誤記が見つかったのは全国で初めて。農水省は各都道府県に基準を確認するよう求めた。
 福島大経済学部の守友裕一教授(農村経済論)は「農業だけでなく、行政システム全体の問題としてとらえなくてはならない。基準作成時のチェック体制や決裁の在り方などを早急に見直す必要があるのではないか」と話している。
[河北新報 2003年06月26日](河北新報)

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20030626-00000007-khk-toh

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