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2003年06月26日(木) 22時45分

6月27日付・読売社説(2)読売新聞

 [転入拒否敗訴]「オウムへの懸念は残ったままだ」

 オウム真理教の信者の住民登録を自治体が拒否したことをめぐる訴訟で、最高裁が初の判決をくだした。「不受理は許されない」との判断を示し、自治体側の上告を棄却した。

 この訴訟は、東京都杉並区と名古屋市に転入を拒否された信者が、不受理処分の取り消しを求めていたものだ。一、二審とも自治体側が敗訴していた。

 最高裁は、住民基本台帳法の本来の趣旨は、正確な居住関係を記録するものであり、居住の事実があれば、転入届を受理すべきだとした。司法判断としては、当然だろう。

 全国各地で、教団の進出をめぐり、信者の転入届を自治体が受理しないことに伴う訴訟が続出し、現在も二十件が係争中だ。今回のケースと同様に、一、二審で自治体側の敗訴が相次いでいる。

 今回の最高裁判決で、自治体が信者の転入届を受理しなければ違法になることが確定した。

 周辺住民にとっては、教団信者の集団生活による不安が残ることになる。

 自治体は今後、教団の集団生活をどう規制するのか。新たな対策を考えなければならない。自治体だけで対応できない問題については、国の支援が必要だ。

 オウム真理教に対し、公安審査委員会がさる一月、団体規制法に基づく観察処分を、さらに三年間延長した。

 公安審は、教団内では、東京地裁で公判中の麻原彰晃こと松本智津夫被告への「絶対的な帰依」が依然維持されていると判断した。

 公安調査庁などの調べによると、オウム真理教は、十七都道府県に二十八か所の活動拠点を持ち、信者数は国内約千六百五十人にのぼり、拡大傾向にある。

 最近では、信者が、インターネットの出会い系サイトを使って学生を勧誘し、医師免許がないのに、ヨガと称する治療行為をしたとして逮捕された。

 こうした行為には、現行法で、可能な限り、速やかに対応する必要がある。教団に関する情報を、自治体や住民に周知させることも欠かせない。

 最高裁判決を受け、教団側は「地域との共存に、より努力する」とのコメントを発表した。それならば、住民を納得させる、実のある内容を示すべきだ。

 教団について、公安調査庁長官が七年前、破防法に基づく解散を公安審に請求したが、将来の危険は薄いとして、棄却された。一連の転入拒否訴訟など、教団をめぐる各地での混乱は、ここから生まれたといえる。

 住民の不安を解消するため、法整備を含め、新たな対応が求められる。

http://www.yomiuri.co.jp/editorial/news/20030626ig91.htm

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