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2003年06月25日(水) 22時11分

デジタル機器の相互運用実現へ、Intelやソニーなど大手17社がDHWG結成MYCOM PC WEB

米カリフォルニア州サンフランシスコで24日、Intelやソニーを中心にデジタルコンテンツに関連する大手17社が参加したDigital Home Working Group(DHWG)結成の発表会が行われた。同グループは、家電、PC、モバイル機器などを対象に、家庭内ネットワークで、オープンスタンダード・ベースの技術による相互運用性の実現を目指す。

「ホームネットワークは劇的な勢いで普及しており、これは業界にとって追い風となっている。だが、相互運用性が限られていることで、消費者は懐疑的になっている」とIntelのLouis Burns氏。同じメーカーの製品同士ならば、ネットワークを通じて簡単にデジタルコンテンツを共有できるのに、異なったメーカー製品との間では所有しているコンテンツを活用できない。独占的なソリューションでは特定のカテゴリだけの成長にとどまり、また業界標準だけでは相互運用性は実現できないと指摘。すべてのデバイスがシームレスに家庭内ネットワークにつながり、そしてコンテンツを共有できるような消費者の側に立ったソリューションの必要性を訴えた。

また、チェアマンを務めるSony ElectronicsのScott Smyers氏は、「我々の共通の目的は、消費者がホームネットワークを意識せずに、ただデジタルコンテンツだけを楽しめるような環境を作り出すことだ」とDHWGの活動を説明する。

○オープンベースの技術を厳選

では、どのようにして消費者にとって理想的なデジタルホームを実現するのか?

DHWGは、利用シナリオを含むホワイトペーパーとデザイン・ガイドラインを作成、さらにDHWGガイドラインと相互運用性を満たす製品に対して認証ロゴを提供するプログラムも用意する計画だ。

家電とPCなどを結びつける取り組みとしては、すでにUPnP ForumやInternet Home Alliance(IHA)などがある。DHWGはこれらと共通のビジョンを持っているが、特定のフレームワークを通じて家庭内のネットワークでの相互運用性を実現しようとしている点で異なる。DHWGは、「オープン」「公正」「相互運用」をキーワードとしており、その条件に合うInternet Protocol(IP)、UPnP、Wi-Fiなどをガイドラインに取り込んでいく存在なのだ。

DHWGのフレームワークの概要が写真1だ。中でも注目されるメディアフォーマットの詳細が写真2である。現時点での例では、JPEG・PNG(画像)、LPCM(オーディオ)、MPEG-2(ビデオ)などが、DHWG認証に不可欠な必須フォーマットとなっている。さらにGIF/TIFF(画像)、AAC/ATRAC3/MP3/WMA9(オーディオ)、MPEG-1/MPEG-4/WMV9(ビデオ)などは、消費者の要求に応えるためのオプションフォーマットとされている。このように必須フォーマットとオプションフォーマットに分けることで互換性を確保するのがDHWGの狙いである。

写真3はDHWGの今後のスケジュールだ。今年の第3四半期にガイドラインのドラフトを作成し、第4四半期には発行。そして2004年上半期にはベータ製品の相互運用性テストが始まる。

○抜け道も存在するような……

DHWGに期待が持てる点は3つある。まず、大手17社の参加だ。日本からはソニー、松下電器産業、NECカスタムテクニカ、富士通、シャープ、ケンウッド。米国からはIntel、Microsoft、HP、IBM、Gateway。ヨーロッパからはNokia、Phillips、STMicroelectronics、Thomson。さらにSamsungとLenovoが参加している。「Dellは?」という声もあるが、今はIntelとソニーが作ったグループに、Microsoftが参加しているというだけで話題性は十分だ。

次に消費者の姿が見えるワーキンググループであること。これまではビジネスを優先させて、消費者の利益は考慮しないような取り組みが多かった。DHWGでは、まず「シームレスな相互運用性の実現」「シンプルかつ簡単に扱える製品」「デジタルメディアを楽しむ方法の拡大」という消費者の利益に焦点を当て、その結果、メーカーにも「大きな市場へのステップアップの可能性」、「ベンダーやサービス/コンテンツ・プロバイダにとって新ビジネスの可能性」などのメリットが生まれるとしている。

相互運用性のために新しい規格を作り出す試みではないという点も面白い。オープンかつ公正であることを条件に、既存の技術を組み合わせてガイドラインを作成する。そのため、1年以内に対応製品が登場する見込みとなっている。短期間で成果が出るというのは、メーカーと消費者の双方にとって良い結果を生み出しそうだ。

逆に不安点もいくつかある。まずは現時点で挙げられている必須フォーマットの弱さ。同じフォーマットだけでは、相互運用性が確立したとしても、デジタルコンテンツの楽しみは広がりそうにない。かといって、オプションフォーマットには現時点でトラブルの原因となっている閉塞性が存在する。

これに関連してDRM(デジタル著作権管理)の問題も気になる。DRMはインターネットサービスで重要な存在だが、オープンスタンダードとの両立が難しい。DRMを重視すれば、オプションフォーマットが中心になり、その結果、DHWGロゴがついていてもコンテンツが共有できないということも起こりえる。

「オープン」「公正」「相互運用」。この3つの条件を満たした中で、本当にDHWGが、消費者のデジタルコンテンツ利用の楽しみを増やしてくれる取り組みとなれるのか。この点が、これから作成されるガイドラインを評価する上でのポイントとなりそうだ。

(Yoichi Yamashita)

取材画像はこちら
http://pcweb.mycom.co.jp/news/2003/06/25/18.html

Digital Home Working Group
http://www.dhwg.org/

(MYCOM PC WEB)

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20030626-00000098-myc-sci

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