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2003年06月23日(月) 08時12分

放射線出るチタン残滓、秋田で土地造成用に20万トン朝日新聞

 非鉄金属の最大手・三菱マテリアル(東京)の子会社が、酸化チタン製造の際に生じる廃棄物で放射線が出るチタン残滓(ざんさい)を70年代から秋田県内の数カ所に埋めたまま国に届けず、安全検査もしていないことがマテリアル社の内部調査でわかった。土地造成用に「人工土」として提供し、総量は約20万トンとみられる。同社は「安全性に問題ないと思うが、早急に現地調査をする」とし、同県に協力を申し入れ、一部について調査を始めた。

 子会社は東北化学(秋田市)。72年4月に事業を始め、82年に同じ子会社のトーケムプロダクツ(同)が事業を継承したが、採算面から00年に解散。マテリアル社が02年4月に産業廃棄物処分場の管理を引き継いだ。

 マテリアル社によると、引き継いだ際、「チタン残滓を処分場以外にも埋めた」と伝えられたことなどから事態を重視。過去の資料などで投棄状況の調査を始めた。

 それによると、00年までの28年間で約358万トンのチタン残滓を排出。72〜78年は秋田市の新屋浜処分場、その後6年間は同市内の旧秋田空港用地、それ以降00年までは秋田県岩城町の雪川処分場に埋め立てていた。

 一方で、74年から一部を「人工土」として秋田市内を中心に無償で提供したことが判明。約5年間で、同県内の峰吉川小学校(協和町)や旧県農業試験場グラウンド(秋田市、現在は県埋蔵文化財センターが使用)など少なくとも7カ所に計約20万トンを埋めたという。

 チタン残滓をめぐっては90年7月、岡山県内の処分場で通常の20倍の放射線が検出され、科学技術庁(当時)などがメーカー7社の調査を指示。その報告を受けて国は91年6月、工場や処分場などでの放射線量は基準以下だったとして「安全宣言」をした経緯がある。

 しかし、トーケム社は当時、秋田県内の処分場2カ所と旧秋田空港用地、運転試験場の計4カ所と工場敷地内については報告したが、その他の場所については放射線量の検査などをせず、報告もしなかったという。

 国は91年に廃棄物を処分する場合には50センチ以上の盛り土を指示しており、マテリアル社は関係個所について基準を満たしているかどうかも調べる必要があるとしている。

 約4万トンが埋められた峰吉川小グラウンドは現在も土のまま使用されている。マテリアル社は、朝日新聞の取材を受けた後の20日、国に一連の事情を報告。国の指導も受けて21日に同小を調べたが、自然放射線レベルだったという。同小は「グラウンドは普段から授業で使っているが、特に異常はない。とりあえず基準値内ということで一安心した」と話している。

 マテリアル社広報・IR室は「人工土の提供は秋田県などと契約を結び違法ではない。90年に廃棄物すべてを調査して国に報告すべきだったのにしなかった理由は不明で、経緯を調べたい。子会社のこととはいえ、地域住民に不安を与える恐れもあることから放射線量の調査や対策などできることをやっていきたい」と話している。(06/23 08:12)

http://www.asahi.com/national/update/0623/004.html

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