悪のニュース記事

悪のニュース記事では、消費者問題、宗教問題、ネット事件に関する記事を収集しています。関連するニュースを見つけた方は、登録してください。

また、記事に対するコメントや追加情報を投稿することが出来ます。

記事登録

2003年06月23日(月) 00時00分

不登校にパソコン活用/メールで対話し元気朝日新聞・

 不登校の小中学生向けに、パソコンを活用する新しい試みが長野市で始まった。市教委は不登校の生徒が通う6つの「中間教室」に昨年度、インターネットのできるパソコンを導入した。メールならコミュニケーションができ、以前より前向きになった−−。そんな効果が出始めている。   (鈴木洋和)

 きっかけは長野市立芋井中の湯本秀二教諭の経験だった。数年前、教室に入れず不登校になった生徒にやりたいことを尋ねると、「パソコンなら……」とつぶやいた。

 パソコンは教室と別の部屋にあり、湯本教諭はあとで通信内容を見せてもらうことを条件に、授業中のパソコン操作を許可した。生徒は「チャット」とよばれるパソコン通信での会話を楽しんだ。生徒は自分の気持ちを表現できるようになり、湯本教諭と対話などを通じて、やがて教室に戻った。

 「芸能人はだれが好き」「昨日のテレビ番組の感想は」。

 たわいのないことでもだれかと会話することで気持ちが落ち着くことがある。湯本教諭は「生徒はパソコンで気持ちが前向きになれた。不登校への対応として非常に有効な手段になるのでは、と実感した」と振り返る。00年、長野市教委とNTTが情報技術(IT)を教育に活用しようとつくった委員会に、この事例を報告。中間教室にインターネットができるパソコンを導入することを提案した。

 不登校の生徒を対象とした中間教室は、長野市では91年から設置が始まり、現在は6教室に約50人が通う。登下校の時間は自由で、卓球や将棋など好きなことをして過ごせるのが特徴だ。

 提案を受け、試験的にパソコンを導入した中間教室で早速、効果が表れた。これまで担任とのコミュニケーションもうまくとれなかった生徒が、進路指導を受けるため学校へ行かなければならなくなり、メールで担任と日程の打ち合わせをするようになった。

 「メールは送信ボタンを押すまで何度も書き換えられるのがいいところ。人と会っての会話や電話だと、不登校の子どもたちは誤解されたりしないかと不安で、荷が重いところがある」と湯本教諭は説明する。

 不登校の小学生が中間教室で、パソコンで絵を描いたり色を塗ったりするのに夢中になり、元気になったケースもある。

 この生徒は中間教室に通う前、学校の教材などを見るだけで腹痛になるほどだったが、パソコンで描いた絵をプリントアウトしてほかの生徒に配るほど元気になったという。母親は「パソコンに出合えてとてもよかった」と振り返る。

 パソコンのメールやソフトから、実際の人間関係にどう発展させるかが課題だ。湯本教諭は「だれとメールをするか子どもと教員が話し合ったり、絵を描くソフトの操作方法を子ども同士で教え合ったりする中で、人とのふれ合いに慣れていくようにする必要がある」と話す。

 県教委教学指導課は「パソコンで不登校の生徒を支援する動きは、県内で長野市が最初だろう」といい、その成果に注目している。

 市教委に協力するNTT東日本長野支店の樋口順子・教育IT担当課長は「パソコンの活用に効果があれば、ほかの地域へも波及させられる。不登校の生徒たちが使いたい、と思えるパソコンの環境を整え、最大限に活用してもらえるようにしたい」と話している。
(6/23)

http://mytown.asahi.com/nagano/news02.asp?kiji=3326

この記事に対するコメント/追加情報を見る

ニュース記事一覧に戻る

トップページ