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2003年06月18日(水) 00時00分

たばこ論争の内側 東京新聞

 たばこの値段が増税で七月から上がる。これによってたばこの価格の63%を税金が占める。不足する税収の穴埋めと「健康」のための喫煙抑制というのが理由だ。財務省にとってたばこは漁業資源のようなものである。税をかけ過ぎて喫煙者が減れば税収も落ち込む。ほどほどにして税資源の枯渇を防がなければならない。

 たばこの税収は今度の値上げで年間二兆四千億円が見積もられる。これに代わる税収となれば、消費税なら1%くらい上げなければならない。

 厚生労働省はこういう財務省の姿勢に大いに不満だ。傘下の厚生科学審議会は、世界保健機関(WHO)のたばこ対策枠組み条約の方向を受けて昨年暮れに「喫煙率を引き下げ国民の健康に与える悪影響を低減させていくことが必要である」と意見具申をしている。

 しかし、財務省の下の財政制度等審議会たばこ事業等分科会は、たばこがある種の病気の誘引になることは認めながらも「アルコールなどとともに合法的な個人のし好品であり、自己責任で喫煙の判断ができるようにすること(警告など)が重要だ。一般的に消費削減や禁止を求めるべきものではない」と反対の答申をしている。

 たばこに対し国が断固とした態度を取れないもう一つのわけがある。日本たばこが事実上の国有会社であるうえ、二万の葉タバコ農家や三十万の販売店の「政治力」を気にしているからだ。

 政府税制調査会でもたばこ税について激論になるが、結論はいつも歯切れが悪い。どうすべきか。このコラムの結論も煮え切らない。私もたばこをたしなむせいである。 (佐瀬守良)


http://www.tokyo-np.co.jp/00/ronsetu/20030618/col_____ronsetu_000.shtml

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