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2003年06月18日(水) 00時00分

税制中期答申 負担を求めるだけでは 東京新聞

 税制改革の中期答申は、負担増ばかりを押しつける内容だ。持続可能な財政のためというが、一方的な増税では国民の支持は得られまい。行政改革なども含めた総合的なビジョンが必要だ。

 政府税制調査会(首相の諮問機関)は十七日、小泉純一郎首相に税制改革の中期答申を提出した。答申には増税志向が濃厚に表れている。

 急速に進む人口の高齢化で社会保障費など歳出負担が膨らむのに対して、いかに歳入を確保するか、という問題意識が強いからだ。

 増税の対象は幅広い。

 中でも、高齢者の収入源である公的年金への課税強化が目を引く。具体的には、年金受給者が対象の公的年金等控除を縮小するという。

 確かに、年金を受給している高齢者の中には、それ以外に高額の所得を得ている人がいる。裕福な高齢者が、ある程度の税負担をするのは当然だが、年金を収入の柱にしている高齢者への単純な課税強化にならないよう、配慮が必要だ。

 また、既に廃止が決まった配偶者特別控除に次いで、配偶者控除も廃止の方向をにじませている。女性の社会進出を促すためだという。

 しかし、専業主婦にも社会的役割はあるはずである。それを考えれば、一気に配偶者控除廃止にまで進むのは、行き過ぎだろう。

 最大の増税が消費税率の引き上げだ。現在の5%を将来、「二けた」に引き上げるべきだと主張する。その際、食料品など生活必需品への軽減税率の採用など、消費税の仕組みの改革もセットにするという。

 消費税は1%で約二兆五千億円の税収が見込める大型税目である。消費税と同様の付加価値税を採用している欧州諸国の税率は20%前後であり、財政当局には、かなりの上げ余地があると見えるのだろう。

 しかし、低所得者層ほど実質的な負担が重くなる逆進性など、消費税には根本的な課題が残っている。小泉首相が「在任中には引き上げない」とこの日あらためて公言した事実も重い。引き上げには、国民多数が納得できる議論が必要だ。

 一方、法人税については、今後、引き下げを検討するという。経済に活力を与えるには法人税の軽減も一つの選択肢だが、国民に負担を求めながら企業だけ優遇して、理解を得られるだろうか。

 税収は国の歳入の柱である。財政を維持するためには、ある程度の負担増もやむを得ない。その場合、徹底した行政改革など歳出面の合理化努力へ、政府も汗をかくべきではないか。答申はその視点が甘い。


http://www.tokyo-np.co.jp/00/sha/20030618/col_____sha_____002.shtml

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