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2003年06月17日(火) 22時32分

6月18日付・読売社説(2)読売新聞

 [税調中期答申]「消費税の二ケタ上げは示したが」

 政府税制調査会(首相の諮問機関)が「消費税率は将来、二けたに引き上げる必要がある」とする中期答申を提出した。

 政府税調が消費税引き上げにここまで踏み込んだのは初めてだ。小泉首相が、「在任中は上げない」と、繰り返し言明する中で、税調としての意地を示したと言えるだろう。

 しかし、消費税で首相に手足を縛られた弊害は大きかった。国税、地方税とも目先の増収策の検討に追われ、答申はさながら「増税リスト」になった。

 税調もさすがに、デフレにあえぐ経済状況は無視できず、大半の増税策は中長期的な課題と位置づけている。

 その中で「公的年金等控除」についてだけ、異例に強い調子で縮小を強く求めていることが注目される。「できれば来年度にも実施したい」という財務省の意向を反映しているように見える。

 この控除は国民年金、厚生年金などの受給者に適用されており、所得税、住民税を算出する際、六十五歳以上なら最低百四十万円が所得から差し引かれる。

 財務省の試算では、六十五歳以上で収入が公的年金だけの夫婦二人世帯は年収約三百万円まで所得税が非課税なのに、給与所得で暮らす夫婦二人世帯は百五十七万円から課税される。

 最近は年金を受給しながら働くお年寄りが増えている。そうした高齢者に応分の負担を求めるのは、やむを得ないことかもしれない。

 一方、財政制度等審議会(財務相の諮問機関)は公的年金の給付額削減を提言した。しかし、年金削減に消費税率の引き上げが重なれば、年金生活者の暮らしが圧迫されるのは避けられない。

 政府は、政策の累積効果が、国民一人一人にどんな影響を及ぼすかに思いを巡らせ、生活者の視点に立って、政策を決めなければならない。財政、税制、社会保障制度の個別の論理を押し付けるのはもうたくさんだ。

 消費税率を引き上げられるなら、所得税の増税を強行する必要性は薄れるのではないか。「あれもこれも」ではなく、全体として優先順位を付けていくことが大切である。

 答申は、国から地方への税源移譲について、最後まで意味のある提案をまとめられなかった。国と地方の利害が鋭く対立するこの問題を本格的に議論したら、税調は空中分解した可能性もある。

 だからといって、問題から逃げていては何も解決しない。どんな税目を、どれだけの規模で移譲し、地方交付税と補助金をどう改革するのか。税調には、たたき台を示す責務があったはずだ。

http://www.yomiuri.co.jp/editorial/news/20030617ig91.htm

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