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2003年06月16日(月) 03時00分

万引被害店廃業:対処わからない 悩みの末15日で廃業毎日新聞


 川崎市川崎区の古書店で今年1月、万引きをして逃げた中学3年の男子生徒(当時15歳)が踏切で電車にはねられ死亡した事故で、警察への通報などを非難された男性店長(44)が15日で、古書店の営業を止めた。事故直後に張り出した廃業宣言に対し、全国から激励が寄せられ、営業を再開していた。店長は毎日新聞の取材に対して、「再開後も、万引きを目撃し、どう対処していいのか、答えを見つけることができなかった」と最後まで苦悩し続けていたと話し、廃業を決意したという。

 店長は古書店の営業を再開したが、しばらく前から、関係者に対して、店舗の賃貸契約が切れる6月中旬で廃業する強い意向を示していたという。この古書店とフランチャイズ契約を結ぶ古書チェーン会社は、店長に対して、店を移転して営業を継続することなど、話し合いを重ねたが、店長の決意を変えることはできなかった。

 店長は「(古書店を)続けることに戸惑いがある。万引きした子を捕まえて(亡くなった男子生徒のように)連絡先を言わなかった場合、どうしていいのか分からない」と言い、再開後も悩んでいた。

 営業再開後まもなく、店長は中高生ぐらいの男子が店で本やビデオテープを万引きする姿を2回、目撃した。しかし、店長はこの男子らを捕まえることができなかったという。

 店舗は16日で新しい経営者に引き渡され、7月上旬には別の古書店として開店することになっている。店長の今後の予定は決まっていないというが、知人らに対して「万引きなどを注意しなければいけない仕事は、もういいかな」と漏らしていたという。

 全国から多数の激励を受けたことに対し、店長は「非常にありがたいし、感謝している。しばらく店を続けたので少しは激励に応えることもできたのではないか。でも、この場所で店を続けることはできません」と話した。【高橋慶浩】

 事故から廃業宣言、再開の経緯は以下の通り。

 川崎市川崎区の古書店で、今年1月21日午後4時ごろ、市立中3年の男子生徒が店で漫画本6冊を服の中に入れて外に持ち出そうとしたところを店長に呼び止められ、店員が110番した。男子生徒は駆け付けた川崎署員に連絡先などを話さず、任意同行を求められた際、逃走。遮断機の下をくぐって踏切に入り、特急電車にはねられた。

 事故後、警察への通報や引き渡し方法を巡り、「人殺し」などと店長を非難する電話などが相次いだ。このため、店長は廃業の意向を記した紙を1月26日に店頭に張り、店を閉めたが、張り紙が大きく報じられたことで全国から、メールなど1200件を超える激励が寄せられ、2月3日に営業を再開していた。

[毎日新聞6月16日] ( 2003-06-16-03:00 )


http://www.mainichi.co.jp/news/flash/shakai/20030616k0000m040079001c.html

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