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2003年06月15日(日) 00時00分

『ノン』アルコール、カロリー『ゼロ』 うのみは危険 食品表示 東京新聞

 ノンアルコールビールは、たくさん飲むとやはり酔っぱらう。アルコールが「ノン」という意味ではないのだ。実は、食品の「ノンカロリー」も同じだ。それどころか「カロリーゼロ」も「ゼロ」ではない。「ノン」にだまされてはいけない。

 北海道消費者連盟(札幌市)が昨春、「ノンカロリー」や「カロリーゼロ」と表示された清涼飲料水八品目を調査したところ、カロリーは“ゼロ”ではなかった。百ミリリットル当たり〇・四−四キロカロリーあったという。

 同連盟の佐藤雄三事務局長は「健康を気にする消費者は、本当にカロリーがないと思って購入する」として、表示の改正を訴える。

 しかし、実は「カロリーゼロ」にカロリーが含まれているのは、食品業界では“常識”なのだという。

 厚生労働省によると、健康増進法に基づいた栄養表示基準では、液体については百ミリリットル当たり五キロカロリー未満、固形では百グラム当たり五キロカロリー未満であれば「カロリーゼロ」「ノンカロリー」と表示できる。

 「食品分析の精度には誤差があり、判断が難しい。代謝にも幅がある。成人男性が一日に摂取するのが二千五百キロカロリーとして、五キロカロリーは五百分の一。栄養成分として大きく関与しないとの判断からで、国際的な基準に基づいている」(同省)

■ビール業界では名称変更相次ぐ

 こうした判断を受けて、飲料水メーカーなどでつくる全国清涼飲料工業会は「法律に基づいた表示なので…」と戸惑い気味だ。

 だが、一足先に問題になった「ノンアルコールビール」のケースでは、ビールメーカーはこぞって名称を変更した。

 ノンアルコールビールはアルコール分が0・5%前後で、酒造法ではアルコール分1%未満は酒類に当たらない。

 ビール大手のサントリーは先月中旬から「ビールテイスト飲料」として発売を始めた。「アルコール分を表示しているが、“ノン”という言葉に戸惑われた方から『アルコールが入っているの? いないの?』という問い合わせが多かったので」と説明する。キリンビールも先月から「清涼発泡飲料」として発売した。

■「紛らわしい表示 命にもかかわる」

 「食品と暮らしの安全」を発行する日本子孫基金の丸田友之氏は「ノンアルコールビールは、アルコール分がないと信じて、車の運転をしたり、子どもに飲ませることが十分にあり得る。カロリーについても、生活習慣病に配慮している人たちにとっては、正しい表示がないと命にかかわる。消費者のイメージと違う紛らわしい表示は考える必要がある」と指摘。

 食品表示に詳しい消費者問題研究所の垣田達哉代表も「例えば、砂糖一グラム当たり四キロカロリーになる。スティックシュガーが一本二、三グラムとして、市販の三百五十ミリリットルの清涼飲料水には、スティックシュガー一、二本が入っても“カロリーゼロ”と表示する」という。

 同様に丸田氏も「以前、缶ジュースの『低糖』『微糖』の表示を調査したら、低糖の缶コーヒーに、スティックシュガー三本半分が含まれていた。消費者の感覚として低糖だろうか。国の基準を満たしても、消費者にとって許されない表示は少なくない」と話す。

 垣田氏は「遺伝子組み換え食品も5%未満なら、表示が義務付けられない。逆に言えば、5%未満なら『組み換えではない』と表示できる。例えば、豆腐の材料として百グラムの大豆のうち四グラムが遺伝子組み換え大豆でも『非遺伝子組み換え食品』になる」とした上で、「食品の基準は事業者側の論理に立って作られる。防衛するためには、食品の“ゼロ”は信じてはいけない」と警告する。


http://www.tokyo-np.co.jp/00/tokuho/20030615/mng_____tokuho__000.shtml

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