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2003年06月14日(土) 00時00分

土壌はシロなのに…キュウリ農薬検査に波紋山形新聞

 無登録農薬問題の発生を踏まえ、県産農産物の安全確保対策を推進する「県安全・安心農産物生産流通システム管理委員会」(委員長・石川敬義荘銀総研副理事長)が13日、県庁で開かれ、キュウリの残留農薬検査で、予想を超す高い濃度の農薬を吸収したキュウリが相次いでいることを県が報告した。これに対し、出席委員から県農林水産部に対する厳しい指摘が続出。想定外の事態に関係機関の足並みがそろわず、今後に不安を残した。

 全農山形本部は「県が事実を公表してから、首都圏のスーパーや市場が山形産キュウリの仕入れを一時見合わせた」と述べ、一部で風評被害が出た実態を紹介。土壌検査で「お墨付き」を与えながら、全戸を対象に出荷前の残留農薬検査を実施しようとする県の方針を疑問視した。

 大産地を抱える山形市は「土壌検査で『シロ』だった農家も検査するというが、分析費用をどうするのかなど不確定要素が多過ぎて、協力できないという声がある」と迫った。ともに県産農産物の安全対策を進める同委員会の委員ではなく、生産者団体と自治体の立場を強調した発言だった。

 これらの意見に対し、県農林水産部の本間正巳部長は「検査をして安全な農産物を出荷していくという姿勢を貫くべきだと考える。疑問点が出てきたら、その都度対応していく」と述べ、き然とした態度で応じた。

 一方、委員からは「全国のどこでも実施していない検査であり、山形産は何も心配がいらないと積極的にPRしてほしい」「本来は『日本のキュウリをすべて検査すべきだ』と言いたい」として、手探り状態の県を擁護する意見も目立った。

 県産農産物に大きな影響を与えた無登録農薬問題をきっかけに、県は「ドリン系」と呼ばれる農薬が長年にわたって土中に残留しキュウリの実が吸収する問題に注目。全国で初めて本格的な安全対策を講じた。

想定上回った吸収率
 キュウリの土壌残留性農薬問題で、県は13日の県安全・安心農産物生産流通システム管理委員会に、問題となっている8検体のデータを提示した。特に基準が厳格な「エンドリン」で、土壌は汚染されていないという検査結果が出たにもかかわらず、キュウリ(果実)から成分が検出された例が3件あり、問題の複雑さがうかがえた。

 果実が土壌に残留している農薬を吸収する割合(吸収率)の上限について、県は「ディルドリン」が30%、「エンドリン」が50%と想定してきた。昨年度に実施した土壌検査で、微量ながら両農薬成分が検出された圃場のキュウリを念のために検査したところ、この8検体に限っては、こうした規則性が当てはまらなかった。

 エンドリンは8検体のうち6検体が土壌検査で「ND(未検出)」だったが、うち3検体(表のA、C、D)の果実から出るはずがないと思われた成分が検出された。果実の濃度が土壌の数値を上回る例(同B)もあり、「吸収率の上限は50%」という想定とかけ離れた結果が出た。

 一方のディルドリンは果実の濃度が土壌の数値より高まった例が3件(同A、B、H)あり、同様に吸収率の規則性に疑問が生じた。

 土壌に強く吸着し、キュウリが吸収しやすいとされる土壌残留性農薬について、食品衛生法が定める基準はディルドリンが0.02ppm未満、エンドリンがさらに厳格な「ND(未検出)」。これを上回る数値が検出されると、市場から排除されることになる。

http://www.yamagata-np.co.jp/kiji/20030614/0000018284.html

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