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2003年06月14日(土) 22時51分

6月15日付・読売社説(2)読売新聞

 [電力・ガス]「自由化で地域独占の壁を崩せ」

 「地域独占」の壁に守られ、高コスト体質を残している電力と都市ガス会社に、本格的な競争の波が押し寄せてくる。

 電気、ガス事業法の改正案が成立し、両市場の自由化が一段と進められることになった。

 今回の改正は、既存事業者間の競争促進を狙っているのが大きな特徴だ。

 既存事業者が自分の“王国”を飛び出して、電力対電力、ガス対ガス、電力対ガスの真剣勝負を繰り広げ、その成果を利用者に還元することが期待される。

 現在、電気の購入先を自由に選べるのは、使用量が極めて多い大型工場、大型百貨店などに限られ、自由化範囲は全電力販売量の26%にとどまっている。

 これが来年四月には中規模の工場や店舗に広がり、全販売量の40%に増える。その一年後には63%まで拡大する。

 都市ガスも同様に、二段階で自由化の範囲が拡大され、四年後には全販売量の50%が競争市場に移行する。

 電力・ガスの自由化は、新規に参入する事業者や、他地域から参入する事業者が、既存事業者の送電網、ガス導管網を使って、利用者に電気・ガスを届ける、という形で進められている。

 欧米では、公正な競争を保つため、送電、ガス導管部門を発電など他部門から強制的に分離する手法も取られた。しかし、強制分離は、価格高騰を狙った発電事業者の売り惜しみを招き、米カリフォルニア州大停電の引き金にもなった。

 このため、今回の改正では強制分離を見送った。賢明な判断だ。

 その代わり、送電、ガス導管部門に対しては会計分離を求め、他部門への情報提供も規制することにした。

 電力では学識経験者、専門家で構成する中立機関を設け、既存事業者が送電網の使用料や使用条件で身内を優遇しないよう、監視する措置を盛り込んだ。信頼される中立機関を作る必要がある。

 余剰電力を全国的に売買する「卸電力取引所」も創設される。

 店舗を全国展開するある大手スーパーは、全店舗の電力を特定の一社から購入する計画を進めている。受注した電力会社は北海道から九州まで、そのスーパーの電気を一手に販売することになる。

 ガスでは、大口需要家への小売りが許可制から届け出制に規制緩和された。大手ガス会社や電力会社が、地方の大工場などに売り込みをかけやすくなる。

 これまでの自由化で、電力・ガス料金は着実に値下がりした。両業界にも、コスト引き下げの意識は芽生えているが、一般産業に比べれば、企業体質はまだ甘い。競争促進のメリットは大きい。

http://www.yomiuri.co.jp/editorial/news/20030614ig91.htm

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