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2003年06月12日(木) 00時00分

りそな国有化 これで再生できるか 東京新聞

 政府がりそなグループに一兆九千六百億円の公的資金投入を決めた。決定に至る過程が不透明なうえ、株主や政府の責任を明確にしないままの投入は重大なモラルハザード(倫理観の欠如)を招く。

 りそなグループに対する公的資金投入は旧大和、あさひ両行への投入分を含めると、これで三度目だ。総額は三兆一千億円を超える。過去二回の投入では、いずれも経営責任を厳しく問わなかった。その揚げ句が今回の事態である。過去の投入が失敗だったことは明白だが、政府は国民に対してまず、その責任を認めるべきだ。

 同じ失敗がまた繰り返されない保証はない。今回の投入でも経営者は退陣したが、新しい社長と頭取には生え抜きが就任している。株主の重い負担も求めていない。

 これでは、政府が銀行株の安全性を保証したも同然である。今後、経営が危うい銀行が現れても「最後は政府が助けてくれる」という安易な期待が市場にまん延してしまう。

 そもそも、政府が破たん寸前の銀行を公的資金で支援することが適当かどうかの議論も尽くされていない。りそなが公的資金の投入で息を吹き返せば、既存銀行にとっては強力なライバルの出現になる。政府は経営の自主性を尊重するといいながら、厳しく経営を監視し、中小企業融資の拡大も求めている。

 実質的に国有化しながら「社外取締役に収益が上がる新しいビジネスモデルを考えてもらう」というのは原理的に矛盾しているのである。最終的に、政府が経営からどう手を引くか、「出口」の道筋もはっきりしていない。ずるずると関与が長引けば、形を変えた政府系金融機関が増えるだけに終わってしまう。

 最初から「生きた銀行」として扱うのではなく、預金を保護したうえ破たん銀行として処理し、早めに売却した方が安上がりで、金融市場をゆがめずに済む可能性もある。

 今回の問題は最初から、うさんくささがつきまとっていた。予備監査した朝日監査法人は「りそなは債務超過」と判断していたうえ、金融庁課長が銀行側との会談で監査内容を「論理的ではないと思う」と発言したメモも結局、銀行が本物と認めた。

 なぜ二兆円近い巨費の投入が必要なのか。なぜ金融庁は投入前に資産の再検査をしないのか。三月に増資したばかりで、なぜ大幅な自己資本不足になるのか。金融庁の介入はなかったのか。公的資金投入は信用秩序の維持が目的といいながら、りそな救済が真の目的ではなかったのか。多くの疑問は晴れていない。


http://www.tokyo-np.co.jp/00/sha/20030612/col_____sha_____002.shtml

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