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2003年06月12日(木) 15時21分

<ネット掲示板>差別書き込みをチェック 奈良の全市町村毎日新聞

 匿名性につけこみインターネットの掲示板で横行する差別書き込み(落書き)が絶えないため、奈良県の全47市町村が7月から、共同で掲示板をチェックするインターネットステーションを設置する。水平社発祥の地・奈良が発信する全国初の試み。悪質なものに対する場合は「プロバイダー責任法」に基づいて発信者情報の開示請求をし、名誉棄損や脅迫の罪で刑事告発する考えだ。

 全市町村で組織する「市町村人権・同和問題啓発活動推進本部連絡協議会」(会長、安曽田豊・橿原市長)が運営する。同協議会によると、01年6月〜今年2月、同県に関する差別書き込みは少なくとも1418件あった。うち75%が部落差別に関するもので、中には「死ね」などと書かれた悪質なケースも見られた。

 掲示板で書き込み中止を求めたところ、「表現の自由だ」などと反発してくることもあった。このため「組織的な対策が必要」と考え、昨年2月から、この問題についての専門会議(約80人)を発足させて、事例の検討や法的問題の検討、他県の視察などをしてきた。

 ステーションには、市町村から人を出し合い、延べ約150人が担当。5人1組が交代して週に2回、橿原市の市町村会館に集まって、掲示板の差別書き込みをチェックする。さらに、どんな啓発がふさわしいかを検討して掲示板に送り返すほか、専門家などと法的問題も検討する。

 同協議会は「19、20世紀は差別し放題の時代だったが、奈良発祥の全国水平社の奮闘もあって人権意識は徐々に高まった。インターネットの普及で、残念ながら再び差別の野放し状態が広まった。子どもたちへの悪影響も考えなければならず、早急な対策が必要と考えた」としている。【阿部浩之】

 ▽井上宏・関西大学名誉教授(情報メディア論)の話 人権を侵す中傷は、表現の自由に当たらないと考えるべきだ。ただ、プロバイダー法でも書き込んだ人物は特定しにくく、防御は難しい。それだけに、書き込み者を特定出来た場合は、刑事告訴するなど法的手段をきちんと取ることが大切で、奈良の試みは評価できる。

 ■ことば(プロバイダー法) インターネット上の権利侵害のトラブル解決を促す法律。昨年5月施行された。中傷などの被害を受けた場合、被害者は発信者の氏名や住所など身元についての開示請求権を持つ。また、トラブルで被害者と発信者の板挟みになりやすいプロバイダー(接続業者)の責任範囲も限定し、一定の条件を満たせば、書き込みを削除しても損害賠償を免責される。ネットワークを運営する企業や大学も対象となる。

 ■ことば(全国水平社) 1922年に結成された部落解放運動の全国組織。この時、被差別者自身が自主的な運動で解放を勝ち取ることを宣言した「水平社宣言」が採択された。発祥地は奈良県柏原(現・御所市)の被差別部落。20年に水平社創立者の阪本清一郎らが中心になって同地で結成した自主団体「燕(つばめ)会」が始まりだった。第二次世界大戦後、部落解放全国委員会、55年に部落解放同盟と改称した。(毎日新聞)

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20030612-00001086-mai-soci

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