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2003年06月12日(木) 00時00分

政治献金 なぜ国民の目から隠す 東京新聞

 与党三党は、なぜ献金した企業名を国民の目から隠そうとするのか。企業・団体献金などの寄付者名の公開基準の緩和は、政治に対する国民の信頼を損なう行為だ。再考を求めたい。

 自民、公明、保守新の与党三党がまとめた政治資金規正法の見直しでは、寄付者名の公開基準を現在の年間五万円超から二十四万円超に緩和する。一方で、政党支部への企業・団体献金の上限を、年間百五十万円に制限する、としている。

 公開基準は、政治献金を行った者の氏名を公表する制度で、企業・団体と政党・政治家の関係をチェックする意味で、極めて重要だ。

 氏名公開の基準は、かつては年間百万円超だった。政党に対する公費助成制度が導入され、公開基準も五万円超と厳しく規制された。寄付者の氏名もガラス張りに近づいた。

 今回の改正は、五万円超の現行基準は維持したまま、毎月二万円ずつ年間二十四万円までの寄付で、送金記録が残る金融機関の振り込みによるものに限って、寄付者の氏名を公開しないという内容だ。

 だが、金融機関の振り込み記録は一般に公開されない。政治資金収支報告では「その他の寄付」として扱われる。どの企業・団体からの献金であるのか、国民の目からは完全に隠れてしまう。

 与党の中で比較的、政治資金に厳しい姿勢をとってきた公明党が、なぜ公開基準の緩和に応じたのか理解に苦しむ。公党の責任として、国民に理解できる説明を行うべきだ。

 いまの公開基準では、氏名公開を嫌がる企業からの献金が受けられないというのが法改正の言い分だ。

 だが、自民党の場合は事実上、政治家一人ごとに政党支部がつくられている状態だ。政党支部をさらに増やすことも可能で、これに公開基準の緩和が加われば、特定の企業と政治家の癒着が進む恐れがある。

 「政治とカネ」に対する国民の不信は、解消するどころか、増大する一方だ。鈴木宗男、坂井隆憲両衆院議員の逮捕は、ヤミ献金が横行していることを暗示している。

 公開基準を緩めることは、国民への背信行為だ。与党三党に再考を強く求める。今国会に法案が提出されても、野党はあくまでも成立を阻むべきだ。

 財界の政治献金に対する最近の姿勢もおかしい。日本経団連は政党への献金を再開する方向で検討しているが、政治への影響力を強める目的なら時代錯誤もはなはだしい。

 財界も、政治支援は個人の浄財でという原点に返らねばならない。


http://www.tokyo-np.co.jp/00/sha/20030612/col_____sha_____003.shtml

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