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2003年06月11日(水) 06時05分

病院跡地から大量医療廃棄物 50リットル缶に約2万個朝日新聞

 旧国立小児病院(東京都世田谷区太子堂3丁目)の跡地で大量の医療廃棄物と水銀による土壌汚染が見つかり、厚生労働省が土壌入れ替えなどの対策を取っていることがわかった。3月までに掘り出された物は注射針や点滴用針など50リットル缶で約2万個にのぼる。これほどの量の医療廃棄物が集中して埋められていたのは異例。廃棄物はまだ残っているとみられ、跡地利用計画に影響が出る可能性もある。

 同病院は昨年3月、世田谷区の国立大蔵病院と統合し、大蔵病院敷地で国立成育医療センターとして再出発した。土地約3万2000平方メートルは同年3月に都市基盤整備公団に売却され、再開発に向けて解体が始まった。

 同省によると、昨春、関東信越厚生局が解体にあたって地中を調べたところ、主に敷地の南西と東の地中から使い捨ての注射器や注射針、点滴針、アンプル、医薬品の瓶が次々と見つかった。製品の特徴などから80年代までに埋められたらしい。

 水銀はほぼ同じ場所で都土壌汚染対策指針に定める「溶出量基準」を上回った所が5カ所あり、最大値は基準の6.4倍に当たる1リットル当たり0.0032ミリグラムだった。ただ毒性の強い有機水銀は検出されておらず、周辺の井戸水にも異常はなかったという。

 厚労省は汚染濃度が比較的高い部分を中心に計約9500立方メートルの土を入れ替え、廃棄物も処分して、今年3月末、土地を公団に引き渡した。

 ところが整地後も注射針などがあちこちで見つかり、同省は再度、5月20日から6月21日までの予定で試掘を実施。新たに100本以上の注射針や薬品瓶が見つかったため、敷地全体の表面土壌の入れ替えも含め、対策を再検討している。

 同厚生局が都に提出した「土地履歴調査」は土壌汚染の原因について、「試薬、消毒薬等に由来する」としており、水銀を含む消毒液や体温計を埋めた後、しみ込んだと考えられる。

 成育医療センターによると、旧小児病院は89年に旧厚生省の医療廃棄物に関するガイドラインができてから、処理を外部委託している。それ以前は穴を掘って埋めていたとみられるが、記録は残っておらず、いつからどこにどれだけ処分していたか不明という。

 この場所には1899年に陸軍病院ができ、戦後は国立世田谷病院となり、65年に国立小児病院となった。

 現場付近は高台の住宅密集地。地元住民は昨年3月の厚生局の説明会で土壌汚染を知り、地下水の調査などを求めた。

 近くの男性は「処理した後も注射針などが見つかるとは。厚労省はなぜこういうことが起きたか、説明する社会的責任がある。汚れたものはすべて国が責任を持って撤去すべきだ」と話す。

 都市基盤整備公団土地有効利用事業本部の担当者は「土地は民間業者に売却や賃貸して住宅を建てる予定だ。現在、残った医療廃棄物がどれぐらいあるか厚労省が調べているが、結果によっては計画の進捗(しんちょく)に影響がでる」と話している。

 医療廃棄物の処分については、89年の厚生省ガイドラインで「外部委託処理の方法」などが細かく定められたが、それまでは病院が院内で自己処理する場合、特段の規制はなかった。(06/11 06:03)

http://www.asahi.com/national/update/0611/004.html

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