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2003年06月10日(火) 22時36分

6月11日付・読売社説(2)読売新聞

 [鳥取県知事]「分権論議で“不買”は行き過ぎだ」

 政府の地方分権改革推進会議の議事運営などを巡って、鳥取県の片山善博知事が、議長を務めた西室泰三・東芝会長を厳しく批判し、同県と東芝の取引停止まで示唆した。

 知事は、国から地方への税源移譲論者で知られる。だが、推進会議の議事運営と意見書の内容を理由に、“不買運動”を口にするのは勇み足ではないか。

 言論には、あくまでも言論で対抗してほしい。論争の相手が所属する企業を攻撃の対象にするのは筋違いだろう。

 西室氏が言うように、推進会議の議長は、西室氏が個人として委嘱されたもので、東芝という企業には関係がない。

 「西室氏を会長にいただいていることで、企業の体質も推して知るべし」と切り捨てた知事の論理には飛躍がある。

 日本経団連の奥田会長は、審議会の結論への不満が不買運動を引き起こせば、政府関係の役職に「民間からのなり手がなくなる」との懸念を表明した。もっともな指摘と言える。

 知事には、県の予算を最も効率的に使う使命がある。仮に、東芝の製品・サービスが一番安く、質がよいにもかかわらず、政治的理由で締め出したら、県民の信頼を裏切ることにもなりかねない。

 税源移譲は、国と地方の鋭い意見対立が避けられない難問だ。

 地方の税財源を厚くして、予算の使い方も地方で決めるようにすれば、無駄が省ける、と地方自治体は主張する。

 一方、財務省などは、「税源を譲られても税収が増えない小規模自治体の問題がある。国税収入の減少には、国債の信用度低下、長期金利の上昇という副作用の恐れがぬぐえない」という立場だ。

 推進会議の意見も割れた。西室議長は多数意見を採り、「本格的な税源移譲は増税の時期まで先送りする」ことなどを骨子とする意見書をまとめた。

 同時に、反対者名を明記することで、少数意見への配慮を示した。事務局は、民主的な手続きをそれなりに踏んだ、と説明している。

 だが、反対者の意見表明が十分に行われなかったこと、議事録の公開が迅速になされていないことなど、議事運営への批判がくすぶっているのも事実だ。

 知事がこれらの点や、意見書の内容を問題視するなら、文書で堂々と議長を論破すべきだろう。

 知事は、「東京エゴ」と指摘した東京都のホテル税や、地域における高速道路の重要性を訴えた道路公団の民営化問題などで、見過ごされがちな地方の主張を全国に発信した。それだけに、“不買運動”に短絡したことが惜しまれる。

http://www.yomiuri.co.jp/editorial/news/20030610ig91.htm

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