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2003年06月10日(火) 14時56分

地上波デジタル、UHFに一部障害 NHKと民放調査へ朝日新聞

 12月に始まる地上波デジタル放送によって、現行テレビ放送の一部の映像が乱れることがNHKなどの実験で明らかになった。UHF放送の画像を鮮明にするためアンテナなどに取り付けられているブースター(増幅器)がデジタル波に異常反応するためだ。障害を起こさない場合もあり、NHKと民放は8月に被害の実態を調べる。対策費用は視聴者の負担にならない見通しだ。

 電波は放送局の電波塔から離れるほど弱まり、画面の映りが悪くなる。ブースターはそれを補う機器で、1万円前後で市販されている。集合住宅では共同アンテナに取り付けられている。

 ブースター障害は新設放送局が電波を出すと起きたことがある。地上波デジタルでも起きることが確認されたのは、NHKと民放、総務省の外郭団体通信・放送機構などが、全国10地域で99年から昨年末まで行った放送実験。開始直後から、「テレビ画面が乱れる」といった苦情が寄せられ、機構によると、昨年10月までに計4052件にのぼった。

 調べたところ、隣県のUHF局の映像を見ようとして、ブースターを使っているケースが多かった。地上波デジタルはUHF帯の周波数で放送されるため、ブースターによって増幅される。アナログUHF局の電波と干渉してしまい、画面が乱れたことが分かった。機構は苦情1件あたり1、2万円の費用を負担して、デジタル波の増幅が起きないようにする機器を無料で取り付けた。

 ブースターの全国での使用実態は不明だ。大手メーカーによると、業界の年間出荷台数は100万台前後。耐用年数は8年ほど。最新機種では障害が起きない仕様になっているが、普及しているのは旧来機種という。見えにくくなるのはUHF局だけとみられる。

    ◇

 《解説》今のテレビ放送の一部が地上波デジタル放送によって乱れることが明らかになった。狭い国土に電波が込み合っている日本では、新設の放送がブースターで異常に反応して障害を引き起こすトラブルは過去にも例があった。同じ障害が地上波デジタル放送でも起きることは放送関係者の間では織り込み済みであり、デジタル化によって周波数を有効利用するという国策に大きな影響は与えないとみられる。

 NHKは「地上波デジタル放送の円滑な普及促進に向け、民放などと協力して実態調査を行う。問題があれば、極力視聴者に迷惑がかからないようにしたい」(榎並和雅・デジタル放送推進担当局長)という姿勢だ。

 実験で確認された障害4052件の地域別内訳は、高松・岡山地区2808、近畿の一部573、九州の一部280など。高松・岡山地区で目立ったのは、ブースターを付けた家屋が、デジタル波を出すテレビ塔の近くにあったためという。

 ブースターに調整機能がない機種は交換が必要となる。

 地上波デジタル放送は12月1日から東京、名古屋、関西地域を皮切りに始まり、11年には全国をほぼカバーする予定だ。昨年までの実験放送は電波の出力を絞ったため、本番では被害が増える可能性がある。東京など未実験地域ではこれから被害予想を立てる。放送関係者は被害場所に偏りがあるとみている。

 地上波デジタル放送に伴う全国の周波数変換対策については国費から約1800億円が支出される。ブースターに絡む障害の対策費用は含まれていない。今回の実験では、電波を発信した通信・放送機構が支出した。放送開始後、放送局側が負担するのか、国費で賄うのか決まっておらず、今後の協議にゆだねられる。(06/10 14:54)

http://www.asahi.com/national/update/0610/031.html

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