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2003年06月10日(火) 17時34分

薬副作用、16年後に救済 制度知らされず、申請に遅れ朝日新聞

 9歳の時に飲んだ解熱剤が原因で皮膚が炎症を起こし、両目に重い障害を負った女性が「医薬品副作用被害救済制度」の救済に該当すると厚生労働省の審議会で認められ、服用から16年たって障害年金を支給されることになった。病院の看護記録が決め手だった。この制度が広く知られていれば、もっと早く援助を受けられた可能性が高い。

 女性は東京都内に住む川口さつきさん(25)。

 鹿児島県の小学3年生だった87年、両親らと県内を旅行中に発熱し、同行者にもらった市販の小児用解熱薬を飲んだ。翌日から顔などに発疹が出はじめ、上半身に水疱(すいほう)もできて入院。スティーブンス・ジョンソン症候群(SJS)と診断された。

 SJSはかぜ薬や解熱剤など1000種類以上の薬で起きる原因不明の病気。皮膚や粘膜がただれ、失明や死に至ることもある。

 川口さんは高校で看護科へ進み、准看護師の資格を取った。しかし、目の痛みに苦しみ、看護師の道は断念。現在、両眼の視力が0.03しかない。

 製薬会社の拠出金で運営する医薬品副作用被害救済制度を知ったのは、98年に千葉県内の病院で左目の角膜移植を受けた時。制度の運営団体に連絡したが、薬の容器か販売証明書がないと無理と言われ、あきらめた。

 2年前にSJSの患者会に入会、助言されて服用記録を探した。鹿児島の薬局はすでになく、病院のカルテは開示を拒まれた。それでも、解熱剤の服用を記載した看護記録の写しを入手でき、薬をくれた人に当時の経緯を書面に記してもらって昨年6月に申請。今年5月31日、1級の障害年金の通知が届き、昨年の申請時点までさかのぼって毎月22万8100円が支給されることになった。

 川口さんは「だめだと思っていたので、支給決定には驚いた」と話す。一方、「本来は発症した時点で、病院がこの制度を患者に教えるべきだ」と訴える。

 1年間に製薬会社や医療機関から報告される副作用は約2万6千件に上る。一方、救済制度の申請は500件に届かない。制度を知らずにいる人が大勢いる、とみられる。制度には入院治療費の支給もあるが、2年を過ぎると申請できない。川口さんも5回の入院費は救済されなかった。

 運営団体は現在、全国約9千の病院すべてに救済制度を紹介したパンフレットを毎年1回送り、被害に遭った患者への説明を要請している。厚労省は「いかに一線の医師に協力してもらうかが課題」としている。

    ◇

 <医薬品副作用被害救済制度> 裁判よりも早く救済する目的で80年5月にスタート。製薬会社約900社からの拠出金をもとに、入院治療費や障害年金、遺族年金などを支給する。副作用かどうかは厚生労働省の審議会が判定。01年度は延べ670人に10億2000万円が支給された。申請には診断書のほか、医師の投薬証明書か薬局の販売証明書が原則必要。最近は薬の空き箱でも認めている。(06/10 17:33)

http://www.asahi.com/national/update/0610/038.html

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