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2003年06月09日(月) 10時29分

WSJ-携帯電話番号、電話会社変更しても維持できる=米連邦高裁ダウ・ジョーンズ

ニューヨーク(ウォール・ストリート・ジャーナル)首都ワシントンの米連邦高裁は6日、携帯電話の利用者が電話会社を変更する際に同一の携帯電話番号を保持することを認める判断を下した。この、いわゆる「携帯電話番号の携帯性」をめぐっては、議会を通じて規制適用の先送りや阻止の動きが出ることも予想されるが、今後法廷で争われる公算は低く、業績低迷に悩む携帯電話業界にはさらなる打撃となった。
 
消費者擁護団体、コンシューマーズ・ユニオンの法務担当者、クリス・マレー氏は「これまでは電話番号を変更することを嫌っていた消費者も、価格やサービスを基準に携帯電話会社を選べるようになった。大いなる勝利だ」と述べた。
 
一方、原告の業界団体、携帯電話通信・インターネット協会(CTIA)は、早急に控訴する意思のないことを明らかにしたが、各社とも議会へのロビイングを通じて、同規制適用の先送りや中止を求める構えだ。すでに何度も延期された経緯をもつこの規制だが、発令は11月24日の予定。
 
CTIAは、米連邦通信委員会(FCC)は電話番号の携帯性に関する規制を十分に定めていない、とする従来の主張を繰り返した。一方、携帯電話業界では、この規制を逆手にとって、一般電話を利用する消費者が携帯電話に切り換える際に、同一電話番号を利用できるようにすることを通信会社に義務付けるようFCCに働きかける意向がある。
 
投資家やアナリストは、この規制によって価格競争はさらに激化すると予測した。携帯電話利用者の回転率は大幅に上昇する見込みで、各社にとって減益要因となるほか、マーケティング費など費用が業界全体で年30億ドル増加するという予測も出ている。
 
情報技術(IT)コンサルティング会社、ヤンキー・グループのアナリスト、ロジャー・エントナー氏によると、携帯番号の携帯性をすでに実施した香港では、発令当初の四半期における回転率は約3倍増となり、その後も契約更新期である規制が適用された月になると、回転率が通常の約2倍まで上昇する傾向が続いている。従来、米国内の携帯電話利用者が携帯電話会社を変更する割合は年間約30%だが、携帯性が適用されればこの率も急上昇する見込み。
 
一方、連邦高裁の判断による影響は、個別会社によってまちまちとなる見通し。
 
今回、原告の中心だったベライゾン・ワイヤレスだが、規制適用によってむしろシェアが増大する可能性もある。米ベライゾン・コミュニケーションズ(NYSE:VZ)と英ボーダフォン・グループ(NYSE:VOD)のジョイントベンチャーである全米最大の携帯電話会社ベライゾンは、最も充実したネットワークとサービスをもっているという評価を得ており、競争促進の動きによる恩恵を受ける可能性も高いが、費用も増大する見込み。またシェア増大をめざすドイツテレコム(NYSE:DT)傘下で全米6位のTモバイルUSAも、携帯性を活用し、時には収益性よりも加入者増加を優先して積極的な事業拡大策を展開するとみられる。
 
顧客満足度調査では評価の低い傾向がある米通信大手スプリント(NYSE:FON)の携帯電話事業スプリントPCS(NYSE:PCS)や米SBCコミュニケーションズ(NYSE:SBC)と米ベルサウス(NYSE:BLS)のジョイントベンチャー、シンギュラー・ワイヤレスは、不満を抱えた加入者による離脱が続出する懸念がある。またスプリントの巨額の負債、シンギュラーの主要都市への不十分なアクセス、など克服すべき問題も残る。
 
法人顧客の割合の高い米ネクステル・コミュニケーションズ(Nasdaq:NXTL)やAT&Tワイヤレス(NYSE:AWE)は、今後の事業戦略次第で大きく明暗を分けることが予測される。法人利用者は連絡網や名刺などに携帯番号を明記することもあって、従来は携帯電話会社を変更することには消極的だった。このため、携帯性が適用されればネクステルとAT&Tワイヤレスは既存顧客を失う懸念がある一方で、従来の経験をうまく活用し、法人顧客の取り込みに成功すれば、むしろライバルから顧客を獲得できる可能性もある。


[DOW JONES 2003-6-9](ダウ・ジョーンズ)

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20030609-00000013-dwj-biz

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