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2003年06月07日(土) 00時00分

住基ネット 離脱自治体新たな決断 東京新聞

 住民基本台帳ネットワーク(住基ネット)をめぐり、東京都内の離脱自治体の“抵抗”が転換期を迎えている。国が「離脱は違法」として参加への働きかけを強める中、個人情報保護法の成立を受けて国分寺市は参加を表明、杉並区は多様な民意を背景に住民の意思に委ねる「選択制」導入を決めた。国に従うか、それとも地方自治体としての判断を貫くか−。自治の根幹にかかわる問題だけに、有識者は「地方自治の姿勢を示せるかどうかの分かれ目」と指摘している。(石川修巳)

 「法を順守すべきことは言うまでもないが、住民基本台帳事務は自治事務。個人情報を適切に管理する義務もある」

 横浜市と同様、住基ネットへの参加を住民意思に委ねる選択制導入を発表した杉並区の山田宏区長は、法の順守と民意の反映という二つの命題を抱え「法の範囲内でのぎりぎりの判断」と強調する。

 個人情報保護法も、「本来求められる厳格な規制を行政に課しておらず、区民が自分の情報をコントールする権利の保障も不十分」という立場だ。

 だが、国側は「選択制は違法」と繰り返し、あくまで全員参加を要求している。山田区長は皮肉を込めて「住基ネットが安全で信頼できるものなら当然、全員参加する」と話し、セキュリティー対策が不十分な現段階では、国の要求に抵抗する構えだ。

 昨年九月に住基ネットから離脱した中野区も「離脱は違法ではない」と主張する。田中大輔区長は「区民の個人情報を保護するのは住基法に基づく区長の責務」と指摘、個人情報の保護のために国がどのような措置を取るのか、総務省にあらためて照会している。

 担当者も「区民にはさまざまな意見がある。区の説明責任を果たしながら、接続するためには今後何が必要なのか、建設的な形で民意を問う方法を考えたい」と話す。

 一方、国分寺市は個人情報保護法ができたのを機に、ネットへの参加を決めた。星野信夫市長は「法の想定していない事態があるかもしれず、完ぺきに個人情報が保護されるとは思っていない」と不安を述べながらも、「法には従わざるを得ない」と話した。

 法に従うのが自治体の責務だとしても、自治を主張して自らの意思を貫くことは、決して認められないのか。

 新藤宗幸・千葉大教授(行政学)は「離脱自治体への是正勧告が示すように、(住基ネットに関する事務が)国と地方が対等な関係の中での自治事務であることが理解されていない」と国を批判し、返す刀で「いま接続している自治体も、個人情報の漏えいなどが起きた場合に、負うべき責任をどこまで自覚しているのか」と疑問を投げる。

 「分権の名の下に地方に自己責任を負わす一方で、国側には新たな集権体制を築こうという姿勢がうかがえる。自治体が地方政府としての立場を鮮明にできるかどうかが問われているのでは」と話している。


http://www.tokyo-np.co.jp/00/sya/20030607/eve_____sya_____000.shtml

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