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2003年06月05日(木) 18時32分

WSJ-[再送]注目される「カリスマ主婦」インサイダー取引疑惑の行方ダウ・ジョーンズ

ニューヨーク(ウォール・ストリート・ジャーナル)米連邦司法当局は、「カリスマ主婦」として知られるマーサ・スチュワート被告を証券詐欺などの罪で起訴し、米証券取引委員会(SEC)は同被告をインサイダー取引で民事提訴した。当局がこれによって新聞の見出しを飾るのは容易だったが、法律専門家は、インサイダー取引疑惑をめぐる裁判で当局が勝利するのは、これよりもかなり困難なものになると予想する。
 
 SECは、毎年50件ほどのインサイダー取引を摘発し、その多くについては和解している。しかしSECは4日、スチュワート被告に対しては、インサイダー取引による証券詐欺で民事提訴することを選んだ。一方、大陪審は同日、証券詐欺、司法妨害などの罪でスチュワート被告を起訴した。
 
 SECニューヨーク事務所のウェイン・カーリン・ディレクターは、スチュワート被告に対するSECの提訴について、直接関連する判例法はないかもしれないが、重要で公にされていない情報の交換など、通常のインサイダー取引事件の証拠となるようなものが、すべてそろっている、と述べた。
 
 スチュワート被告とともに起訴されたメリルリンチの元ブローカー、ピーター・バカノビッチ被告は、他の顧客の情報を漏らすことでブローカー義務に違反をしたが、スチュワート被告は、これが義務違反であることを知っていた。このことは、スチュワート被告が法廷で争う上で難しい問題のひとつとなりそうだ。SECによると、スチュワート被告はバカノビッチ被告を通じて、やはりバカノビッチ被告の顧客だった、米バイオ医薬品会社イムクローン・システムズ(Nasdaq:IMCL,IMCLE)のサミュエル・ワクサル最高経営責任者(CEO、当時)が自社株を売却しようとしていたことを知った。
 
 SECによると、バカノビッチ被告は2001年12月27日、アシスタントだったダグラス・ファネイル氏に対して、ワクサルCEOとその娘がメリルリンチの口座にあるすべてのイムクローン株を売却しようとしていることを、スチュワート被告に知らせるよう指示した。
 
 その後の電話で、ファネイル氏はスチュワート被告にこの情報を伝えたとされる。スチュワート被告はイムクローンの持ち株3928株すべてを売却するようファネイル氏に即座に指示した。イムクローンはその翌日、米食品医薬品局(FDA)ががん治療薬「エルビタックス」の承認申請却下を決めたと発表した。翌営業日の12月31日にイムクローンの株価は16%安の46ドルに下落した。スチュワート被告はこの株式売却により、4万5673ドルの損失を回避できた。
 
 SECの事情に詳しい消息筋によると、SECの5人の委員は全会一致で、SEC法執行局がスチュワート被告を提訴することを承認した。
 
 また同筋によると、SECの主張はファネイル氏の証言に基づいており、裁判に至った場合、ファネイル氏の証言の信頼性に依存することになる。これとは別件だが、SECは4日、ファネイル氏が民事の証券詐欺事件で、自身の非を肯定も否定もせずに和解したと発表した。和解の一環として、ファネイル氏は証券業界に携わることが禁じられたが、罰金は科されなかった。同氏は以前、軽犯罪による有罪を認め、検察当局の捜査に協力することに同意している。
 
 同筋によると、スチュワート被告は、インサイダー取引疑惑について、ここ数週間でSECとの和解に近づいていた。刑事訴追を免れるためだったもようと同筋は言う。4日の起訴を考慮すると、スチュワート被告は、刑事事件のほうが決着するまで、SECとの和解はできなくなりそうだ。従って、インサイダー取引については民事裁判にかけられることになりそうだ。
 
(6月5日付のHeard on the Streetより)


[DOW JONES 2003-6-5](ダウ・ジョーンズ)

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20030605-00000031-dwj-biz

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