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2003年06月04日(水) 00時00分

住基ネット「情報漏えいの可能性」 インターネット接続問題、県町村会で県保護審会長 東京新聞

 住民基本台帳ネットワーク(住基ネット)の運用問題で、県町村会は三日、「県として当面、住基ネットから離脱すべきだ」との第一次報告をまとめた県本人確認情報保護審議会長の不破泰・信州大教授から説明を受けた。不破氏は、情報の保護には住基ネットとインターネットの接続問題の解決が急務と強調した。町村会は各郡単位で意見集約する予定だが、首長からは戸惑いの声も上がった。

 同審議会の調査では、県内二十七の自治体で住基ネットとインターネットが物理的に接続している。不破氏は「(インターネットから)住基ネットのデータがのぞき見できてしまう」と情報漏えいの可能性を指摘。“離脱”の結論は「純粋な技術的問題」とした上で、「国の技術者を呼んで実験し、住基ネットに侵入できるか実証していただきたい」とも述べた。

 また、不破氏は、市町村長や県知事は住基ネットの適切な管理のために必要な措置を講じる義務があり、一時離脱は違法ではないと説明。ただ「県と市町村がじっくり話し合うべきで、県が勝手にやらないようにしなければ」と述べた。

 町村会長の唐沢彦三・小布施町長は会議後、安全性確保の重要性に理解は示したものの、「県が中心になって基本的方針を出さないと、市町村だけでの対処は難しい」との認識を示した。

 市町村は八月の住基ネット二次稼働を控え、六月定例会で関連条例案の提出や補正予算を計上する。上伊那十市町村は住基カードを利用した独自のサービスを開始する計画で、矢田義太郎・宮田村長は「法に基づいてやっていること。離脱となれば困る」と本音を漏らした。 (中沢稔之)

◆「離脱」の意味合いをめぐり報道陣と問答 県保護審の不破会長

 「県は当面、住基ネットから離脱すべき」との第一次報告をまとめた県本人確認情報保護審議会の不破泰会長(信大教授)は三日の県町村会評議員会で、「私は不接続と書いている」などと述べ、結論で用いた「離脱」との言葉を修正するかのような説明を行った。

 不破会長は会合後、田中康夫知事への報告の後で内容を変えるのはおかしいのでは−などの報道陣の質問に対し「(住基ネットとインターネットの物理的接続という)技術的問題点を指摘したもので、『当面』との部分がしっかり伝わらず市町村長が困っている気がした。離脱と不接続の言葉の意味に違いはなく、私の不徹底」と釈明した。 (石川浩)

◆県議会の中心議題に 自民党県議団近く総務省から意見聴取

 県本人確認情報保護審議会の「離脱提言」(第一次報告)に関連し、県議会第一会派の自民党県議団(萩原清団長)は三日、住民基本台帳ネットワーク(住基ネット)について、近く総務省から意見聴取する方針を決めた。八月に二次稼働を控え、関係条例改正や予算案提案などを予定している市町村が多く、県議会でも中心的な議題になる見通しだ。

 同県議団はこの日、県市町村課などから審議会報告の経緯などを調査。メンバーからは「県全体で離脱するのは乱暴過ぎる」「情報漏れが起きないよう前向きの取り組みをすることが必要」などの批判のほか、「県が早く方向性を示す必要がある」との発言もあった。

 萩原団長は「県が接続機能をやめると大変な事態との指摘は理解できる。どこに問題があるのか市町村とともに対応したい」と述べ、市町村長や審議会委員らからも意見を聞き、問題点を整理して県議会に臨む意向。

 小林実議長は「各会派も重要問題と位置付けて調査を行っている。不備があれば改善策があるはずで、それを充実させながら(県は)慎重な対応をしてほしい」と述べた。 (石川浩)

◆住基ネット二次予算案 上伊那10市町村は足並みそろえ提出

 上伊那広域連合正副連合長会は三日、伊那市役所で開き、上伊那十市町村は足並みをそろえて、住民基本台帳ネットワークシステム二次稼働に伴い発行される住民基本台帳カードの利用条例案や関係予算案をそれぞれの六月定例議会に提案していくことで一致した。

 先の県本人確認情報保護審議会の「当面、住基ネットから離脱すべきだ」の中間まとめが出され、県の動きもまだ決まっていないが、六月定例議会で関係条例案などが可決されないと、八月二十五日から始まるカードの交付に準備が間に合わなくなるとしている。十市町村のうち、伊那市はすでに二日開会の六月議会に条例案などを提案している。

◆「県情勢が不透明」下諏訪町は見送る

 下諏訪町は三日、住民基本台帳ネットワーク(住基ネット)のカード発行など、八月の二次稼働に向けた一般会計補正予算案などの六月定例町議会提出を見送った。県審議会がまとめた「住基ネット離脱」の報告を受け、「情勢がはっきりしない」と判断した。

 町は当初、住基カード製作委託料など十九万四千円の補正予算案と、カード交付に伴う手数料条例改正案を提出する予定で準備を進めていたが、住基ネットに批判的な高橋文利町長の意向や、七月に臨時町議会が予定されていることから、見送りを決めた。

 高橋町長は「町として住基ネットから離脱することは考えていない。臨時会までには県の対応も決まってこよう。予算措置はそれからでも間に合う」と述べた。 (福沢幸光)

◆阿智村も提案見送る

 阿智村でも三日開いた村議会全員協議会で、県本人確認情報保護審議会の中間報告を受け、岡庭一雄村長が「住民の個人情報が守られない可能性がある。安全かどうかを確かめる時間が欲しい」と述べ、六月議会に提案予定だった住基ネット接続に伴う「村手数料条例」改正案や関連補正予算案などの見送りを報告、議会の了承を得た。

 同村では、十一日に同審議会の委員四人を招いて勉強会を開き、今後の方針を検討する予定。 (浅井俊典)


http://www.tokyo-np.co.jp/00/ngn/20030604/lcl_____ngn_____000.shtml

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