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2003年06月04日(水) 23時04分

商標登録:角川書店が登録の「NPO」に市民団体が反発毎日新聞


 大手出版社の角川書店(東京都)が、新聞・雑誌の商標として「NPO」(非営利組織)を特許庁に出願、今年4月に認められ、商標登録されていたことが4日、分かった。今後、NPO法人などが販売目的の刊行物の名称に「NPO」の文字を使うと、同社の商標権を侵害する恐れがある。これに反発する関西の市民団体などは近く、同社に商標登録の取り下げを求め、応じない場合は特許庁に登録の異議を申し立てる方針。

 商標登録は昨年1月、「NPO」と「ボランティア」の二つを出願。特許庁の審査を経て今年4月25日に二つとも登録、5月27日に公報が発行された。同社によると、NPO活動を支援する雑誌を創刊する構想が持ち上がり、「雑誌名は商標登録するのが常識。具体的名前が決まる前に、まずNPOで申請することにした」という。

 一方、商標登録を知った大阪市のNPO法人関西国際交流団体協議会などが呼び掛け団体となり、「NPOの発展のためには放置できない」として、全国のNPO関係者に電子メールで訴えた。同協議会の有田典代事務局長は「市民参加や情報公開を促進するためには、活字の力が重要。新聞・雑誌の名称にNPOが使えなくなるのは問題だ」と訴える。また、呼び掛け団体の一つ、社会福祉法人大阪ボランティア協会の早瀬昇事務局長は「認めた特許庁の対応も信じられない」と話している。

 NPO活動に詳しく、特許庁への異議申し立ての準備を進めている三木秀夫弁護士(大阪弁護士会)は「角川書店への抗議を訴える声が、4日だけで100件以上も私の事務所に寄せられた。非営利活動に同社がクレームをつけたりしないだろうと善意に解釈したいが、NPOの発展を阻害する動きにつながることを危ぐしている」と話している。

【岸桂子、宝満志郎、山本直】

 特許庁商標課の話 一般的で普遍的な言葉であっても、「石けん」など商品そのものを示すものでなければ、商標登録の対象になる。今回のケースも登録を拒絶する理由はなく、商標権を侵害したか否かの問題になると、司法が判断することになる。   ◇

 【ことば】商標登録

 商標法に基づき、業者が自分の商品を他人の商品と識別するため、商品に使用する文字や記号などの標識(商標)を特許庁に登録すること。出願は年間約11万7000件、登録は同約10万5000件(02年)。他の商品と識別できない場合や、公益上の理由、私益保護の見地から適切でない場合は登録出来ない。

 例えば、商品の産地名や原材料名、「炭焼き」などの製法をそのまま商標にしたり、各国の国旗や自治体など公益団体が使用しているマークと類似のマークを登録することは出来なくなっている。

 登録によって全国的に効力の及ぶ商標権が発生し、登録業者は指定商品について独占・排他的使用の権利が保証される。また、商標の公報掲載から2カ月以内に限り、第三者が特許庁長官に対し登録の取り消しを求める異議申立制度も設けられている。

 登録の対象となる商品は45分類あり、「新聞・雑誌」もその一つ。函館新聞社が、北海道新聞社による「函館新聞」などの新聞の題字の商標登録を独占禁止法違反として公取委に審査を求め、道新が新規参入を妨害したとして排除勧告を受けるなど、トラブルになったことがある。

[毎日新聞6月4日] ( 2003-06-04-23:04 )


http://www.mainichi.co.jp/news/flash/shakai/20030605k0000m040064003c.html

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