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2003年06月03日(火) 06時10分

車いす乗車、衝突に無防備 保安基準なく貨物と同じ扱い朝日新聞

 埼玉県越谷市で5月、車いすごと乗車できる軽乗用車が事故を起こし、車いすの利用者が死亡した。腰に巻く2点式シートベルトで胸や腹を圧迫されたのが死因だった。同様の事故は1月に仙台市、3年前に岐阜県内でも起きている。車いす利用者を保護するための車両の保安基準は未整備で、早急な法整備を望む声も出ている。

 越谷署によると、越谷市内で5月8日、軽乗用車の運転手(68)が信号を無視して約40キロで交差点に入り、左から来た別の軽乗用車と衝突。運転手は軽傷だったが、後部座席を外して空いたスペースに車いすごと乗っていた男性(70)は死亡した。肋骨(ろっこつ)が折れ、心臓が破裂しており、腰の位置のベルトがずれ、胸を圧迫したのが死因とされた。

 男性は脳梗塞(こうそく)で左半身に障害が残り、病院でリハビリをして福祉団体の車いす移動車で帰宅する途中だった。

 運転手は車の仕様書通りに車いすを4点で車両に固定し、男性に腰巻きのシートベルトを施していた。

 同署は車の構造上の問題も調べたが、道路運送車両法に基づく保安基準は車いす用の安全装置に触れておらず、福祉車両の運行に特別の許可基準もなかったという。同署幹部は「過失は運転手にあるが、安全対策が必要ではないか」と話す。

 岐阜県では00年3月に男性(当時52)が、仙台市では今年1月に女性(同77)が死亡。いずれもワゴン車に乗車していて事故に遭い、腰巻きのシートベルトで腹や胸を圧迫され、内臓などが傷ついていた。

 昨年6月、岐阜県警は事故分析を日本交通科学協議会で報告した。その中で「車いすは座席でないため保安基準は適用されず、貨物と同一レベルの取り扱いになっている」と指摘。「車いす利用者は足での踏ん張りが利かず、危険が迫っていることすら認識できない人もいる」とし、(1)3点式以上のベルトなどで骨盤や上体を完全に拘束する(2)ひじ掛けなど、体を打つ危険のある個所は衝撃吸収できる構造・部材を使う(3)エアバッグを装備する−−ことなどが必要だと訴えた。

 国土交通省は「保安基準上、車いすは座席ではなく障害のある方々の補助具だが、安全性向上に向けて検討したい」(自動車交通局技術企画課)としている。

 警察庁交通局は「今後の高齢化社会では、車いすに対応して、こうした車の利用の仕方が増えるだろう。国交省などと協力して対応していきたい」という。(06/03 06:10)

http://www.asahi.com/national/update/0603/009.html

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