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2003年06月02日(月) 00時14分

自宅の権利証の字が消える ワープロ感熱紙が原因朝日新聞

 「権利証」と呼ばれる土地や家屋の登記済証の文字が、今にも消えそうなほど薄くなる。そんなことがおき、法務局や司法書士団体を驚かせている。90年代にワープロ印刷で使われた感熱紙を使ったことが原因だった。

 東京都大田区の主婦(65)は昨年暮れ、たまたま金庫を整理し、入れていた自宅の権利証の字が読めなくなりそうなぐらい薄くなっていることに気づいた。

 95年に夫を亡くし、96年に相続による所有権移転登記をした。事務に詳しい知人がワープロと百貨店で買った感熱紙で、申請書類を作ってくれた。正本と副本を法務局に提出し、副本に登記済の判が押されて返された。これが権利証になっている。知人は「当時、感熱紙の字が消えるとは知らなかった」と話す。

 主婦は「白紙ではこの先不安。私のように金庫にしまっていて、気がついていない人がほかにもいるのでは」と語る。

 最近は、インクを吹き付けるインクジェット式の印刷機が主流だが、90年代は熱転写式でリボンを使う印刷方法のワープロが多かった。その方式では、リボンを使わずに感熱紙で印刷することもできた。

 この感熱紙がどのメーカーのものかは分からないが、メーカーの一つの日本製紙によると、感熱紙は、無色の染料が加熱されて顕色剤と化学反応して黒色に変わる。時間の経過とともに逆の反応がおき、薄くなる。状況によって消えるまでの期間は違うが、とくに光に弱い。「最近は消えにくい感熱紙もあるが、96年当時のワープロ用途だと保存性は低いはず」と担当者は説明する。

 東京法務局城南出張所の三澤義苗所長は「初めて聞く事例」と驚く。申請書は10年間法務局で保存される。申請書には長期保存に耐えられる紙を使う決まりがあるが、戻ってくる権利証の紙の質に決まりはない。申請者任せだ。

 日本司法書士会連合会によると、年間1千万件ある不動産登記のうち、司法書士に頼む代理申請は9割を占める。斎木賢二専務理事は「司法書士は後々きちんと残るように、証書などに保存性に優れる和紙や上質紙を使うことが多い」と話す。だが、所有者が自分で書類を作る場合も数%あるという。

 売買などで必要になる権利証だが、再発行は認められない。「不正利用を防ぐためにも、発行は一度だけ」と法務省はいう。だが、権利証をなくしても、何らかの登記をしたことがある大人2人が印鑑証明を添えて保証書を作れば、権利証の代わりになる。(06/01 23:02)

http://www.asahi.com/national/update/0601/024.html

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