悪のニュース記事

悪のニュース記事では、消費者問題、宗教問題、ネット事件に関する記事を収集しています。関連するニュースを見つけた方は、登録してください。

また、記事に対するコメントや追加情報を投稿することが出来ます。

記事登録

2003年05月30日(金) 00時00分

『内部告発』に通報制度 中野区が骨子 庁内外“窓口”を設置 東京新聞

 中野区は二十九日までに、職員による不祥事の内部告発について、庁内と外部に二つの通報窓口を設ける「公益通報制度」の骨子をまとめた。いずれの窓口も匿名の通報が可能で、通報者に不利益を与えないよう区の要綱で規定。組織ぐるみのもみ消しを防ぐため、合議制の「公益通報委員会」には弁護士も参加する。六月中に導入される見通し。 

 同区では二十日、職員が警視庁に業務上横領容疑で逮捕されたばかり。内部告発の制度化は、こうした違法行為への抑止力としての狙いがある。

 違法行為や不作為などの事実を職員が知った場合、通報にはその事実にかかわった該当職員の氏名、証拠となる状況などの情報が必要。総務課に事務局を置く内部組織「公益通報委員会」に文書か電子メール、外部の「公益通報相談員」には、区が相談員に指定する弁護士に文書か電話で通報できる。

 同委員会は助役と収入役、教育長、総務部長の区側四人と、外部委員である相談員の弁護士で構成する五人の合議制。区長が指名する公益通報調査員(区職員)の調査を踏まえて対応を協議し、区長に報告する。区長は警察への告発、懲戒分限審査委員会開催など必要な措置をとる、とした。

 同区は当初、通報の仕組みを庁内組織に限る方向で検討していたが、もみ消し防止や通報しやすさなども考慮して外部窓口の設置を決めた。

 公益通報制度をめぐっては、千代田区が窓口を外部組織(弁護士)に委ねる方向で条例化を検討しているほか、内部告発により相次いで発覚した企業不祥事を契機に、政府も内部告発者保護の法制化を検討している。

<解説>

 中野区は内部告発の制度化を「区民サービスの品質管理の一環」と位置付けている。違法行為の抑止はもちろん、業務改善や施策のアイデアを区長に直接伝える「職員提案制度」などと組み合わせ、区政に対する信頼の基盤づくりが狙いだ。

 だが、区職員が区立体育館の使用料を着服したとして業務上横領容疑で逮捕された事件では、決算処理の段階まで不正が見抜けず管理体制のずさんさが指摘された。

 内部告発の制度化も、適切な管理体制が伴わなければ実効性はおぼつかない現実を突き付けているといえよう。

 一方、こうした「公益通報制度」の仕組みを持つ自治体はまだ少なく、行政サービスの品質管理を進める一歩として評価できるが、課題も指摘されている。

 区は同制度を庁内規定として条例化しない方針だ。これは弾力的な運用が可能になる半面、「いかなる不利益も受けない」とする通報者保護の確固たる仕組みや、外部窓口となる「公益通報相談員」選任の透明性をどう確保するか−などが問われる。(石川 修巳)


http://www.tokyo-np.co.jp/00/tko/20030530/lcl_____tko_____000.shtml

この記事に対するコメント/追加情報を見る

ニュース記事一覧に戻る

トップページ