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2003年05月29日(木) 00時00分

子宮や卵巣摘出、元勤務医の控訴を棄却東京高裁「医療とはいえない乱診乱療」ZAKZAK

 1980年に起きた埼玉県所沢市の富士見産婦人科病院事件に絡み、必要ない手術で子宮や卵巣を摘出されたとして、元患者ら63人が元勤務医4人に賠償を求めた訴訟の控訴審判決で、東京高裁は29日、病院側に総額約5億1000万円の支払いを命じた一審東京地裁判決を支持、元勤務医の控訴を棄却した。

 森脇勝裁判長は「医師資格のない元理事長の診断が医学的に極めて疑わしいと知りながら、医師が暗黙に共謀して不要な手術を繰り返した」と指摘。「病院には違法な診療システムが確立していた」と病院ぐるみの不法行為を認定した。

 一審判決の賠償命令額約5億1000万円は、元勤務医のほか病院を経営していた医療法人芙蓉会、北野早苗元理事長らに対するもの。控訴した元勤務医4人を除き、既に確定している。

 元患者らの提訴は81年。控訴審判決までに約22年を要した。

 判決理由で森脇裁判長は、当時の病院の状況を「極めて商業的で、およそ医療とはいえない乱診乱療」と厳しく批判。「違法なシステムを機能させるには、医師が元理事長に追随、協力することが不可欠で、ごく簡単なチェックすらしなかった」と述べた。

 元勤務医4人は控訴審で「当時の医療水準では治療は妥当だった」と主張したが、森脇裁判長は「すべて不適切だった」と退けた。

 判決によると、元勤務医4人は、医師資格のない北野元理事長が「子宮が腐っている」「放っておくとがんになる」とでたらめな診断をするのに異を唱えず従い、不要な子宮摘出手術などを日常的に実施した。

◆元患者ら、病院や国への怒りをあらわに

 「無駄な時間を費やした悔しさを感じる」。富士見産婦人科病院の「乱診乱療」をめぐる訴訟の東京高裁判決を受け、元患者らは29日、記者会見。提訴から約22年にわたった月日を振り返り、病院や国への怒りをあらわにした。

 会見場となった東京・霞が関の司法記者クラブ。被害者同盟代表の小西熱子さん(51)は「被害の立証などに苦労したが、勝って当たり前だった」と冷静に訴訟を振り返る一方、「どうして厚生労働省は元勤務医らの医師免許を取り消さないのか」と声を荒らげた。

 「今さらながら必要のない手術をされたことが悔しい。元理事長らを不起訴にした検察庁にも憤りを感じる」と話したのは大野陽子さん(57)。

 手術当時、30歳前後だった元患者も、今では多くが50歳を超えた。

 岡田ヤス子さん(65)は「振り返ると涙ばかり出てくる。わたしは体から大きなものを失ったが、判決でより大きなものを頂いた」と声を震わせた。

ZAKZAK 2003/05/29

http://www.zakzak.co.jp/top/t-2003_05/3t2003052921.html

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