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2003年05月27日(火) 15時31分

<雪印乳業食中毒>「企業の論理」を優先 安全より利潤追求 毎日新聞

 「真に裁かれるべきは企業の責任なのに」。雪印乳業の食中毒事件で、現場の2被告に有罪を言い渡した27日の大阪地裁判決に、被害者らから無念の声が漏れた。そもそも「食の安全」はなぜ脅かされたのか。被害者が起こした民事訴訟に提出された元大樹(たいき)工場長、久保田修被告(53)の検察官調書には、判決にはない心理の記述があった。調書からは、消費者の安全より利潤追求と責任回避を優先させる企業の論理が浮かび上がる。

 「大阪工場の製品で苦情が出ている」。久保田被告は札幌市で株主総会が開かれた00年6月28日の夜、本社役員を接待していたスナックで一報を聞いた。「(大樹工場にも)保健所の立ち入り検査があるはずだ」。とっさにとった行動は、工場に連絡を取って機器の洗浄を命じることだった。

 7月6日。「(原因は)大樹の脱脂粉乳の可能性が大きい」とのファクスが本社から入った。3カ月前のことを思い出した。脱脂粉乳から異常な数の菌が検出されたと部下から報告を受けた。「殺菌工程後の汚染」との説明に疑問を持ったが、黙認した。廃棄による会社の損失や責任問題を恐れたからだ。

 念のためサンプルを検査させると、4月1日製造分から1グラム当たり3500万個もの菌が出た。目標は1000万個。「大樹が原因かもしれない」。目の前が真っ暗になった。

 製造過程を極秘に調べるよう指示したが、日報があまりにズサンで原因が分からない。結局、日報の改ざんを指示した。「ぶん殴ってでも(改ざんを)やめさせる」との部下の声も押し切った。だが、隠ぺい工作は無駄だった。大阪市が8月18日、大樹工場の脱脂粉乳から毒素が検出されたと発表。「これで人生が終わった」。久保田被告は翌年3月に解雇された。

 雪印乳業食中毒被害者弁護団も判決後、被害者らと大阪司法記者クラブで会見。田中厚団長は「不十分な裁判だった。現場責任者は猶予刑で、会社は罰金、最高責任者である社長と専務は刑事責任さえ問われない。問題がわい小化されてしまい、非常に残念だ」と話した。(毎日新聞)

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20030527-00001070-mai-soci

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