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2003年05月26日(月) 00時13分

ネット書店の「客」はよく「客」食う客だ——カスタマーボイスの威力japan.internet.com

最近、周囲で本を出版する人が多い。「ぜひまわりに宣伝して下さい」とメールをよくもらうが、必ずといって書き添えてある文章がある。

「アマゾンで、予約可能です。そして読んだら、ぜひアマゾンでレビューを書いてください」

これを本音ベースで翻訳すると、

・できればアマゾンで予約してほしい→予約ランキングで上位になれば、より効果的な宣伝ができる
・予約しそびれてもアマゾンで購入してほしい→ほぼリアルタイムの売上げランキングが表示されるので、著者としても営業面でも励みになる
・アマゾン以外の書店で購入したとしても、せめてレビューはアマゾンにて書いてほしい→どうせ誉めてくれるなら、注目度の高いアマゾンのレビューにて誉めてほしい

このブックレビュー。
私も著者だったことがあるのでよくわかるが、直接意見をいってもらうこともうれしいが、その意見がパブリックな場で多数の目にさらされるのも気分がいいのだ。

では、客の立場からみた魅力はどうか?ブックレビュー、つまりカスタマーボイスは2つの意味でご馳走である。つまり2度おいしい。

一つ目はレビューそのものの魅力である。

ネット書店は立ち読みができない。実際の商品を手にとれないデメリットの代わりに、ネット書店は今までにない武器を手に入れた。普通の読者の感想や読後感である。今までも本の批評や感想などはさまざまなメディアにて掲載されていた。しかし、書店で実際に読んだ人の感想が、本のまわりにひらひらと付けられているというのはあまり見たことがない。第三者の意見は、メディアバリューのある人の「帯」があるだけだ。

ネット書店は実物が手に取れない物理的な制約があるが、無数の「帯」をつけられるという物理的な利点がある。ネット書店では、たわわに実ったレビューを読み、それを楽しむことができるのだ。実際に、レビューだけ読むというのもかなり面白い。そして共感できるレビューがあれば、当然買いたくなる。だからこそたくさんレビューがある書店で買いたくなるし、たくさんレビューがある本を買いたくなる。

批評と違って、ネットのブックレビューには、飾らない感想や読後感、つまりその本をどう生活に生かしているかというナマの声がある。たとえば「読み終わっても、通勤バッグに入れてお守りのようにしています」とか、「部の全員に購入して読んでもらった」など、商品としての本が生き生きと表現されている。専門家の批評よりも、“手にとってみたくなる、読んでみたくなる”そんな原始的なパワーに溢れている。

もうひとつの魅力は、客そのものの魅力である。

リアルの書店は、その書店の客の頭の中身が見えない。ネット書店は、客の頭の中身が見えるのだ。たくさんあるネット書店のうち、どのネット書店の客と一体化したいかを、購入者は選ぶことが可能なのだ。

一体化したいと思わせるツボは、特に本の場合、レビューの質を平均的よりちょっと上向きの『角度』に設定するところであろう。つまりほんの少し見上げる感じ。「このレビュー、なかなかやるな」「このくらいのレビューなら俺にも書けそうだ」と、思わせるくらいのレビューが効く。

カスタマーレビューは書店以外でも威力を発揮する。DVD、映画、CD、ホテルなどは、本と同様の『角度』で効力を発揮するようだ。ダイエット商品、食品、化粧品などは、この『角度』はちょっと下向きに設定したほうが効力を発揮する。

さて、もしお暇があれば、最近のベストセラーのブックレビューを各ネット書店で読み比べてほしい。私も2年前に「模倣犯」のブックレビューを読み比べたことがある。好意的な感想しか掲載していないところ、賛否両論のところ、1件もないところ、質量充実のところと、様々だった。そして2年前にすでにアマゾンのブックレビューは、質量ともに群を抜いていた。

そんなアマゾンだが、最初のレビューにだけインセンティブ(抽選で3000円のギフトカード)をつけている。レビューを最初に書く客にとっての、この美味しいしくみは、アマゾンのレビューのスズナリ化に一役買っている。

他の客にとって「おいしい客」を揃えること、これを実現するには、“はじめの一歩”が肝であるからこその工夫。アマゾンの工夫は書店以外でも必ずツカエル。(記事提供: 株式会社イーライフ
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