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2003年05月26日(月) 18時40分

[あっぷるLINK]社会・地域 悪徳融資、堂々と /青森毎日新聞

 ◇安心できぬ「登録業者」−−飛びつくと雪だるま式
 借金返済に窮した多重債務者や自己破産者の弱みにつけ込むヤミ金融業者が問題になっているが、最近は都道府県などに登録した正規の貸金業者までが同様の悪質な勧誘を行う例が目立っており、県内にもその実例があった。「登録業者」とうたっていても、安心は禁物だ。【田村彰子】
 青森市内で一人暮らしをする60歳代の女性は、無理な買い物を重ねた結果、借金苦に陥ってしまった。「どうもはじめまして」などと親しげなうたい文句のチラシにつられてヤミ金融に手を出し、雪だるま式に債務が増えた。自己破産の手続きを取った途端、さらに貸金業者から山のようなダイレクトメールが送られてきた。ヤミ金ばかりでなく、県に登録した正規業者のものもあった。
 貸金業法は、業者に財務局か都道府県への登録を義務づけている。東北財務局青森財務事務所には10業者、県には約280業者が登録している。
 「許認可」と違い、あくまでも登録制度なので、厳しい審査などはない。県では名称や所在地、役員名を記した書類を提出し、登録料4万3000円を払えば3年間の営業が可能になる。登録できないのは(1)破産中(2)登録取り消しから3年未満(3)禁固以上の刑を受け、その執行が終わってから3年未満——などに該当する者だけだ。
 比較的簡単になれる登録業者だが、メリットは多い。チラシなどに「貸金業登録」などと記載して安心感を持たせ、雑誌などにも堂々と広告を掲載できる。
 特に大きいのは、貸金業界でつくる信用情報システムから多重債務者や破産者の情報(いわゆるブラックリスト)が入手できることだ。貸金業法は返済能力を超える貸し付けを禁じているため、まじめな業者はブラックリストに載っているような人には融資を断るが、悪質な業者は逆に「(返済に行き詰まった複数の債務を)一本化しませんか」などと勧誘する。
 都道府県は登録業者に立ち入り検査できるが、県の昨年の検査実績は約40カ所。業者全体の7分の1に過ぎない。県商工政策課は「今年度は強化する」と話すが、現在の体制では全登録業者を1、2年で検査することは不可能だ。明確な違法行為で摘発でもされない限り、登録を取り消されることはまずない。
 消費者問題に詳しい五戸雅彰弁護士は「追い詰められた多重債務者などは、悪質な業者にも飛びついてしまう」と指摘する。冒頭に紹介した女性についても「金を借りてしまう危険性は大きかった」と話す。
 こんな業者に借りてしまったら最後だ。「破産者や多重債務者とわかっていて金を貸す業者が、まともな取り立てをするだろうか」と五戸弁護士は言う。
 金融庁は今年4月、登録審査を強化するよう財務局に指示。都道府県にも勧告した。だが、県商工政策課は「返済能力を超える貸し付けをしても法律には罰則がなく、処分は難しい」と及び腰。県警生活保安課も「未然には取り締まりはなかなかできない」と話す。
 日弁連は01年12月、貸金業法改正を求める意見書を採択している。登録業者という「羊の皮」をかぶって暗躍する悪徳業者の被害を防ぐには、早急な法改正など抜本的な対策が必要だ。(毎日新聞)

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20030526-00000001-mai-l02

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