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2003年05月25日(日) 22時54分

5月26日付・読売社説(2)読売新聞

 [食品行政]「重い使命を担う安全委員会」

 食の安全確保を目指す食品安全基本法が成立した。新たな行政組織として、食品安全委員会が七月に発足する。

 BSE(牛海綿状脳症=狂牛病)問題では、農林水産省の生産者寄りの姿勢や縦割り行政のために、消費者保護がないがしろにされた。

 基本法はその反省に立ち、食の安全性確保のため、適切な対応が取れる行政への転換を目指している。安全委員会は、その要となるものだ。

 行政への不信に加えて、事業者による食肉偽装などの悪質な事件も相次ぎ、国民の食に対する信頼は大きく揺らいでいる。行政への信頼回復を担う安全委の重い使命は、いくら強調しても、し過ぎることはないだろう。

 内閣府に設置する安全委は、毒性学や化学物質、公衆衛生などの専門家七人で構成される。人の健康を害する恐れのある食品や物質について独自に調査、分析し、安全対策が必要な場合は、農水省や厚生労働省に必要な措置を講じるよう勧告する仕組みだ。

 安全性についての判断を所管官庁に任せず、すべて安全委が行って、適切な対策が取れる体制ができれば前進だ。

 課題は、国民の健康、安全の保護を第一に掲げる新たな枠組みをいかにうまく機能させるか、に尽きる。

 食品や物質の安全性分析には、専門家の研究成果にとどまらず、関係するさまざまな情報の収集が不可欠だ。

 BSE問題で欧州連合(EU)の委員会が二年前、「日本でも発生の可能性がある」との報告書をまとめようとした際に農水省はこれを受け入れず、EUとの協議内容も一切公表しなかった。

 関係する情報を安全委が速やかに把握できる仕組み作りが何より重要だ。多くの情報を入手できる立場にある所管官庁の積極的な情報提供が欠かせない。

 消費者の声が安全委の決定に反映される仕組みも必要だ。消費者団体などは委員会のメンバーに消費者代表を加えるよう求めたが、実現しなかった。委員会の下には約二百人で構成する専門チームが置かれる。そこに消費者代表を入れるなどの工夫が要る。

 同時に、安全委には、対策の決定に際し、どのような議論を経たのか、明確な説明をする責任も出てくる。

 安全委の発足を機に、農水省は食糧庁を廃止し、約九千人の職員の過半を、食の安全行政担当に回す。

 「安全委の発足に乗じて懸案の組織の改廃をした」と言われないよう、同省は消費者保護に軸足を置いた行政へ、大きく踏み出さねばならない。

http://www.yomiuri.co.jp/editorial/news/20030525ig91.htm

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