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2003年05月23日(金) 14時23分

<個人情報保護法>成立 業界に「戸惑い」「期待」毎日新聞

 国会への最初の法案提出から2年余りを経て、個人情報保護関連法が23日、成立した。「情報」を扱う最前線では、「商売はできない」と個人名簿を廃棄することを決めた名簿業者が出る一方、「規制の基準をもっと明確にしてほしい」と戸惑う声も広がる。「情報管理の充実が会社のPRになる」と、審査機関には業者の申請も相次いでいる。 【臺宏士、斎藤良太】

■認定マーク

 「個人情報保護についての業界の関心は高まっている」。経済産業省の外郭団体の日本情報処理開発協会は、98年に個人情報保護対策が十分な企業に対して「プライバシーマーク」を交付し、消費者にアピールできる制度を導入した。認定数は初年度55件だったが、毎年増え続け、累計は535件を数えた。昨年の通常国会での法案審議入り後は急増し、企業の申請から交付までの審査期間は、以前の2カ月程度から今は4カ月という。関本貢事務局長は「データ処理を請け負う企業が受託先から『個人情報保護は大丈夫か』と尋ねられることが多くなったようだ」と分析する。

■新ビジネス

 東京都港区の名簿図書館。業界、会社別の人事録や「高級車購入者」「○○施設使用者」など約1万5000点にも上る名簿やファイルが並ぶ。利用者は有料でコピーする。「個人名がリストになった資料はすべて廃棄するつもりだ。名簿の扱いにうるさくなったのだから仕方ない」と同館は説明する。しかし、法律を見越して「新商売」をスタートさせた。個人名の並んだ名簿は法の規制対象となるが、企業や学校、病院など法人の名簿は法律の枠外のため、これらを整理し直し、顧客の依頼で希望先に一斉にファクスする。「法律は確かに打撃だが、新しいビジネスを始めるチャンスと考えればいい」

 ■カーナビ

 電話帳データベースなどを基に、住所を検索できるカーナビゲーションシステム。製造メーカーのパイオニア(東京都目黒区)は「カーナビ自体がどこまで規制されるのか分からず、個別法がどうなるかもはっきりしない。規制の点がはっきりすれば対応できるのだが」と困惑を隠さない。政府の見解では、利用者も規制対象になり得るが、「こちらがお客様の使い方までとやかく言えない」と、当面は法律施行後の動きに注目する。

 ■住宅地図

 毎日、社員やアルバイト1000〜1100人が家の表札や事業者の看板の名前を調査し、住宅地図を制作しているゼンリン(本社・北九州市)は00年10月、社内に個人情報保護検討委員会を設置した。これまでも、住人から希望があれば、次の版から名前を削除している。「住んでいる人自らが公開している情報しか掲載せず、プライバシーとは違う。消防や救急にも住宅地図が利用され、掲載のメリットは大きい」と強調する。しかし、「法律施行で削除の要望が増えるなど過剰な反応がなければいいが」と心配する。

 ■消費者金融

 消費者金融系の約4100社が加盟する全国信用情報センター連合会(全情連)は約1742万人の個人情報を保有する。会員各社からの年間の照会件数は1億8000万件。膨大な個人情報が飛び交う。不審なアクセスを発見するシステムを作ったが、根絶は現状では難しい。加藤大三郎専務は「債務情報は金銭的な価値があり、狙われやすいようだ」と分析する。全情連は4月、金融庁などに個別法制定を求める要望書を提出した。

 ◇個人情報保護関連法の成立を受けて、日弁連の本林徹会長は「国民の情報の流通をすべて監視するという仕組みになっており、自由な言論活動や、経済活動が妨げられ、日本社会全体が委縮してしまう危険が大きい。継続的に問題点を検討し、施行後3年以内に制度の全面見直しを行うべきだ」とする声明を発表した。(毎日新聞)

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20030523-00001065-mai-soci

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