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2003年05月20日(火) 06時08分

財団後ろ盾にマルチまがい 東京の団体が準備朝日新聞

 財団法人「農林科学研究所」(東京都新宿区)の関連団体が、会員制で健康水を販売したり、インターネットを使った電話事業の投資話など実体の乏しい事業を掲げたりして資金集めを進めようとしていたことが、朝日新聞社の調べで分かった。新たな会員を誘うと紹介料が支払われるという仕組みで、会費や販売代金の振込先は同研究所名義の口座になっていた。非営利目的の財団を後ろ盾にした「マルチ商法まがい」との指摘も出ている。

 同研究所は47年5月に財団許可。ヤシ油の一種であるパーム油精製後の廃棄物リサイクルなど、農林産物に関する一般普及を目的としている。02年度の資産総額は1億3210万円。戦後間もなく設立されたため、省庁や自治体も活動の実態を把握していない「無所管法人」だったが、国の法人見直しで、今年度から農水省が所管する方向で審査が進んでいた。

 関係者によると、今年3月ごろ、同研究所の理事が、「生涯現役」(同港区)という新たに作られた関連団体に出向し、代表理事に就任。「環境」「健康」「通信」の3事業をテーマに営利活動を始め、「営利活動が出来ない財団法人のかわりに、商品の取引事業をしている」と説明した。「生きがいのある日々を送ろう」と、リストラされた会社員や定年退職者、主婦などを対象に、9万4000人を限度に全国から会員を募集している。

 募集のパンフレットには1区画10坪(33平方メートル)の家庭農園を半年無料で使用できる権利や、健康水、自動車排ガス減少装置の購入券などを特典としてうたい、永久会員としての入会費9万8000円や商品の販売代金、事業への投資金などの振込先は財団名義の都市銀行口座となっていた。

 インターネットによる格安の電話事業では、大手接続業者に似せたロゴマークを使用。静岡県内のリゾートホテルも、提携が済んだように記載しているが、契約されていないという。協賛企業として掲載されている会社の一つは「勝手に企業名を使われた」としている。

 会員が新規会員を勧誘すると、1人につき1万5000円の報酬が支払われる。全国に支部をつくり、会員を多く集め、実績に応じて活動費を支給するシステムになっている。

 マルチ商法に詳しい紀藤正樹弁護士は「まさにネズミ講で、ここまで露骨なのは見たことがない。完全に金銭だけで動く配当組織といえる」と指摘。さらに「提携の済んでいない見せかけの商品をパンフレットで紹介している。これはマルチ商法的な手法だ。マルチや投資のノウハウをつぎ込んだあとが見られる。財団法人という公益性を信用させてお金を集める手法は、オレンジ共済事件に似ている」と話す。

 朝日新聞の取材に対し、同研究所の理事長は「知らない間に勝手に財団の口座名が使われていたが、実際は理事個人の口座に振りこまれている。現在は団体との関係を絶ち、関係者を詐欺として刑事告訴も検討している」と説明している。(05/20 06:08)

http://www.asahi.com/national/update/0520/004.html

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