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2003年05月18日(日) 03時11分

資料を断りなくメモ、記事に 曽我さん家族の住所報道朝日新聞

 拉致被害者曽我ひとみさん=新潟県真野町=の北朝鮮に住む家族の詳細な住所を朝日新聞が報じた問題で、本社は17日、報道の経緯の調査を終えた。その結果、本紙記者が取材先に断りなく資料をメモし、記事にしていたことが分かった。

 調査によると、曽我さんのもとに北朝鮮から手紙が届いたというニュースが、13日付の他紙朝刊で報じられた。本紙記者は同日朝、このニュースを追うため、真野町内の取材先を訪ねた。取材先は机の上にファイルを広げ、報道機関からの問い合わせなど、電話の応対に忙殺されていた。ファイルには封書の表書きのコピーがあった。

 記者は取材先の横に立ち、差出人の住所などをメモした。取材先はそれまでの記者との信頼関係から、書き写されたり報道されたりするとは全く思っていなかったという。

 記者はいったん部屋を出た後、再確認するため再び入室。別の人しかいなかったが、机の上にあったファイルで無断で照合して、メモを手直しした。メモの内容を記事にすることについて取材先の了解を取っていなかった。

 記者は、北朝鮮の家族の住所がこのニュースを先行して報じた他紙にない新しい要素であり、手紙が間違いなく家族から届いたことを示すデータになると考え、原稿を書いた。

 記者が書いた原稿は、新潟支局でチェック役のデスクが目を通した後、東京本社に送られ、複数のデスクを経て13日付夕刊に掲載された。

 本社ではプライバシー保護のため、住所を記事にする場合は基本的に細かい地番まで記していない。しかし、外国の住所だったこともあり、プライバシーに思いが至らず、詳細な住所がそのまま紙面化されてしまった。

 東京のデスクらには、この住所にかかわる部分が本紙記者による独自取材の結果という意識はなく、発表された情報をそのまま書いたと思いこんだ。

 取材から紙面化に至るまで、この住所記載で曽我さんと家族に重大な不利益が生じる可能性があることに気づき、指摘する声は出なかった。

    ◇

 調査チームは、曽我さんが抗議文を本社に寄せたのを受けて14日に発足。取材した記者本人、取材先、原稿に目を通した社内の関係者からの聞き取りや照合など検証活動を進めた。この調査結果は、本社の報道による人権侵害の救済を図る組織として社外委員で構成する「報道と人権委員会」に報告。第三者の目で再点検してもらうことにしている。

    ◇

 この調査結果には取材の経緯や取材先に触れる部分がありますが、取材先の了解を得て記事にしています。

◆曽我さんの苦しみ、心に刻む 東京本社編集局長・秋山耿太郎

 今回の記事は、何よりも曽我さんとご家族の置かれた立場に対する配慮を欠いたものでした。取材の仕方についても、取材先の信頼を損ねる行為がありました。

 曽我さん、取材先、関係者の方々に重ねて深くおわびするとともに、今後こうしたことを繰り返さないよう全力を尽くします。

 曽我さんは、北朝鮮のご家族との連絡が途絶えてしまうことを大変心配されています。その苦しみを私たちの心に刻み、曽我さんをはじめ拉致被害者の方々がご家族と一日も早く再会できるよう、拉致問題の報道に取り組んでいきます。(05/18 03:10)

http://www.asahi.com/national/update/0518/002.html

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