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2003年05月17日(土) 00時00分

りそな公的資金2兆円で事実上「国有化」自己資本比率4%を維持できず4年ぶり再注入ZAKZAK


国の管理下に入るりそなホールディングスは、勝田泰久社長らに代わる新経営陣のもとで経営改善を目指す見通しだ 大手金融グループ、りそなホールディングス(勝田泰久社長)は17日午前、臨時取締役会を開き、政府に1−2兆円規模の公的資金再注入を申請することを決めた。政府は午後、初の金融危機対応会議を緊急召集、預金保険法102条に基づき再注入を決める。預金は全額保護されるが、事実上の国有化で、りそなは国の管理下で経営改善に取り組む。金融庁とりそなの監査法人が今週、税効果会計の見積りを巡って暗闘を展開、適正な資本計上を主張する監査法人が寄り切った。このため、2003年3月期末の連結自己資本比率が国内業務の最低基準である4%を割り込んだ。血税の再注入に伴い、勝田社長ら首脳陣が引責辞任するのに加え、金融危機の再燃が懸念される。


勝田泰久社長 りそなHDは、子会社の近畿大阪銀行の不良債権処理損失や保有株式の含み損処理の増加で、2003年3月期の連結最終赤字が従来予想の2900億円から三千数百億円に拡大する。

 3月末に国内取引先や海外機関投資家を相手に優先出資証券による1200億円の資本増強を実施したが、国内業務を行う銀行の「健全性の基準」である自己資本比率4%を維持できなかった。

 もはや追加増資を行う体力もなく、4年ぶりに公的資金再注入が行われることになった。

 海外業務から撤退、国内業務に限定したりそなですら4%を割り込み、健全経営を維持することが困難になったことから、政府は金融システムが揺らぐことを懸念。ただちに預金保険法102条に基づく公的資金注入に応じることにした。

 同法102条は、銀行の破綻(はたん)や債務超過などに陥った金融機関の処理も定めるが、今回は資本不足状態に対する救済措置。

 勝田泰久社長ら経営陣は辞任する見通しで、新経営陣のもと、大規模なリストラなど経営改善策が策定・実行される。

 突然、国有化の事態に陥った背景には、竹中平蔵金融・経済財政担当相を中心に政府の不良債権処理策「金融再生プログラム」がある。

 このプログラムには、銀行の資産査定を厳格化が盛り込まれている。

 りそなの自己資本比率は、昨年9月中間決算で7.9%と健全だったが、2003年3月期末決算で自己資本に算入できる「繰り延べ税金資産」(税効果会計)を制限され、4%を割り込み、3.5%程度にまで落ち込んだとみられる。

 「繰り延べ税金資産」とは、不良債権処理の際に支払った税金のうち、貸付先の破綻などで将来還付される可能性が高いものを先取りして資本に計上するものである。

 最大で向こう5年間に見込まれる納税額まで計上できることになっているが、大手銀行はこのところ赤字決算続き。将来の収益を過大に見積もって繰り延べ税金資産を実勢以上に資本計上しており、「資本の水ぶくれ」との批判が出ていた。

 金融庁関係者は「りそなの国有化危機は、今週に入ってから頭をもたげてきた」と明かしたうえで、こう続ける。

 「実は、りそなの繰り延べ税金資産の計上額をめぐり、金融庁とりそなの監査法人との間で今週に入り、水面下で暗闘が繰り広げられた」

 「国有化銀行を出したくない金融庁は、繰り延べ税金資産を向こう4年分まで計上できるよう監査法人に圧力をかけた。ところが、監査法人側が『2年分でなければ、決算書にハンコを押せない』と頑に抵抗した」

 「結局、金融庁が監査法人に寄り切られ、2年分しか計上できなくなった。りそなは4%割れが避けられなくなり、公的資金再注入に追い込まれてしまった」

 りそなの自己資本比率については、16日付の朝日新聞がいち早く「5%台半ば以下まで低下」と報道した。このあたりの事情を大手銀行幹部が次のように解説する。

 「15日の時点では、金融庁が監査法人に圧力をかけたため、繰り延べ税金資産は4年分計上されるだろうとみられた。4年分が認められたら、りそなの自己資本比率は5%台半ばとなる」

 「その見込みがもとになったのが、朝日の報道。朝日も万が一、監査法人の主張が通った場合を考え、5%台半ば以下と表現したようだ」

 監査法人が結局、2年分との主張を譲らなかったため、りそなが4%割れに陥った。

 その間の両者の暗闘の激烈さを物語るように、「りそなの税効果会計の計上額をめぐり、関係者に自殺者が出た−との未確認情報まで金融界を駆け巡った」(前出の大手銀幹部)という。

 りそなの一連の動きを見てきた金融当局幹部が疲れた表情でいう。

 「早い話、旧大蔵省と同様に、護送船団方式で来た金融庁の信用が地に落ち、威光がなくなってきたということだ。監査法人の管轄は金融庁。大目付けの言うことを監査法人は聞かなかった」

 もっとも、竹中氏率いる金融庁は大手行の2003年3月期決算にあたり、監査法人に対して繰り延べ税金資産の適正計上を求めていたのも事実。監査法人はそれをちゃんと守ったことになる。

 「米国のエンロン事件など公認会計士もグルになっての不正会計が相次いで発覚し、監査法人に対する世間の目は厳しさを増している。決算でヘタに手心を加えて、その後、その企業の経営が立ちいかなくなったら、監査法人の責任も追及される。投資家や債権者から莫大(ばくだい)な損害賠償を迫られる可能性もある」(ベテラン公認会計士)

 その意味では、りそなの事実上の国有化は、大手銀行の真の姿をあぶり出したともいえる。第2、第3のりそなが現れないことを祈るばかりだ。

ZAKZAK 2003/05/17

http://www.zakzak.co.jp/top/t-2003_05/2t2003051701.html

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