大手金融などのロゴまねて集客　高金利で摘発の貸金業者（朝日新聞）

　まぎらわしい社名や商品名に要注意——。違法な高金利融資で警視庁に摘発された貸金業者が、社名を大手金融機関や著名企業に似せたり、商標登録ずみのマークを勝手に使ったりして客を獲得していたことがわかった。多重債務者が大手の関連業者と思い込んで融資を受け、さらに借金の額を増やして苦しむケースが目立つ。

　法定の最大３６倍の高金利で貸し付けたとして、出資法違反容疑で経営者（３１）が１４日に逮捕された東京都豊島区の業者名は、「＠ＢＡＮＫ」（アットバンク）。

　三井住友フィナンシャルグループがコンビニエンスストアで展開するＡＴＭ（現金自動出入機）サービスの名前「＠—ＢＡＮＫ」にそっくりだ。こちらは商標登録されている。色と字体の一部が違うが、見抜くのは難しい。借り手から「そちらは三井住友の関連か」と聞かれた業者は「そうだ」と答えていた。調べに、経営者は「客集めが容易だった」とその効果を話しているという。

　三井住友側は業者に改善を求める警告文を送った。警視庁は、商標法違反（商標権侵害）の疑いでも立件する方針だ。

　三菱グループの「スリーダイヤ」と呼ばれる有名なマークは、杉並区の業者が無断で宣伝用のチラシなどに使っていた。この業者は「三菱ブランドを利用すれば客が集まると思った」と供述した。

　まねられる対象は金融機関にとどまらない。人気歌手浜崎あゆみさんらのＣＤを販売する音楽ソフト大手の「エイベックス」（本社・東京都港区）もそのひとつ。４月に出資法違反などの容疑で家宅捜索された豊島区の業者は「エーベックスフィナンシャル事業部」と名乗っていた。エイベックスの広報担当者は「『イ』と『ー』の違いがあるし、金融とは無関係なのであまり気にならない」と、こちらは余裕。

　都内には都の登録業者だけで約７千、無登録を含めると約２万ともいわれる貸金業者がある。

　全国クレジット・サラ金被害者連絡協議会（事務局・大田区）にも「業者の名前にだまされた」という相談が寄せられる。大手企業との関連の有無は「本家」に問い合わせればすぐにわかるが、多重債務で苦しんだ経験のある相談員の男性（５３）は「返済に追われて業者を探すとき、有名企業の名前に似た業者なら安心、とつい思い込んでしまう」と話す。(05/15 14:34)

http://www.asahi.com/national/update/0515/020.html

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