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2003年05月12日(月) 07時05分

お悔やみ電報、実は脅迫 ヤミ金融に新手口朝日新聞

 法外な高金利で貸し付けるヤミ金融業者らから、誰も死んでいないのに脅迫めいた内容のお悔やみ用電報が客に届く被害が全国で多発している。強引に取り立てる新たな手口とみられるが、電報を配達したNTTにも非難が集まっている。被害者対策に取り組む弁護士グループは「犯罪行為に加担している」として、配達しないよう求める決議文を提出した。NTT側は「『通信の自由』が憲法で保障されている以上、規制は不可能」と戸惑い気味だ。

 大阪府内の男性(56)は4月中旬、NTTのお悔やみ用の漆塗りケースに入った電報を受け取った。中には「あなたの債権を回収に行きます」と書かれていた。すでに全額返済しており、末尾に記された電話番号に問い合わせると、電話の向こうで男が身に覚えのない借金の返済を迫ってきた。

 男性は「NTTはヤミ金融業者の手伝いをしている。被害を抑えるには配達すべきではない」と怒りはおさまらない。

 4月初め、大阪府内の40代の主婦に届いた無登録の貸金業者からのお悔やみ電報は、「大至急 金を返せ」に始まり「あなたの指を10本、家族の指を40本送っていただければ、借金は帳消しにします。連絡がない場合、安全の保障はできません」と書かれていた。この主婦は2万6000円を借り、1週間分の金利は2万9000円と言われたが返済できなかった。北海道釧路市では、同じ業者から1日に9通のお悔やみ電報が届いたケースがあった。

 大阪府消費生活センターには、電報による借金取り立ての相談が、今年1〜3月に24件寄せられた。

 こうしたお悔やみ電報は、多くが最高額(5000円)の漆塗りのケースに入れられており、「あらゆる手段で取り立てる」「家族はもちろん同僚、友人の財産も調べて回収する」といった文面が並ぶ。「あなたを殺します」「近いうちにこの電報の意味が分かる」などと「死」を示唆する内容も目立つ。恐怖心から金を払わずにはいられなくなるようにするのが狙いとみられる。

 電報を電話で申し込む場合、NTTのオペレーターが文面を把握できるほか、インターネットを使ったサービスでも電報配達所の担当者が内容を知ることができる。

 3月末、ヤミ金融の被害者対策に取り組む弁護士らが全国規模の集会を開き、「中身を知ったうえで配達するのは犯罪行為の一部」とする決議を採択。改善に向けたNTT側の見解を求めた。大阪府内の被害者と支援する弁護士らも、恐喝容疑の幇助(ほうじょ)としてNTT西日本などを府警に告訴することを検討している。

 一方、「脅迫電報」は、他人や架空人名義の携帯電話から申し込まれることが多く、料金を徴収できないケースが相次いでいる。NTT東、西日本は4月、同じ電話番号から1カ月に6通以上電報を打つ場合は、クレジットカード払いにしてもらう対応策を決めた。だが、内容のチェックについては消極的だ。

 全国クレジット・サラ金問題対策協議会事務局長の木村達也弁護士は「ヤミ金融業者の文面は脅迫行為で、オペレーターや配達員が内容を把握しているのに配達するのは幇助にあたり、管理するNTTにも責任がある。被害者の声を集め、改善を求めたい」と情報提供を呼びかけている。連絡先は大阪クレジット・サラ金被害者の会(06—6361—0546)へ。(05/12 07:05)

http://www.asahi.com/national/update/0512/005.html

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