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2003年05月11日(日) 00時00分

節電器商法対策弁護団結成へ 法改正視野に解決策模索河北新報

 「電気代が3、4割節約できます」という触れ込みを信じて、省エネ機器販売会社「アイディック」(本社東京都)の節電器を購入した自営業者らから苦情が相次いでいる問題で、仙台など各地の弁護士会が被害対策弁護団の結成に向けて動きだした。被害は東北でも確認されており、弁護団は今後、節電器購入の際に結んだクレジット契約の無効を求める集団訴訟などを検討する。事業者同士の商取引のために、クーリングオフができないという法の盲点を突かれた形の被害に、ようやく救済の手が差し伸べられるが、全面解決までの道のりは険しい。(報道部・中村洋介)

<東北でも相談続々>
 「消費者保護の各法や割賦販売法など、あらゆる法律の抜け道を突いた商法だ」
 2日、仙台市青葉区の仙台弁護士会館で開かれた被害対策弁護団の結成準備会で、新里宏二弁護士(仙台弁護士会)は、アイディックの巧妙な商法を指摘した。各県の弁護士会によると、東北でも既に宮城県内で16件、他の5県で各1件の被害相談が寄せられている。

 アイディックの節電器は1機当たり50万—100万円。ローンを組み、数年で返済する。しかし、1997年ごろから「全然、効果がない。だまされた」といった苦情が全国で目立つようになった。相談を寄せたのはほとんどが事業者だった。

 アイディックは個人向けに節電器を販売していた時期もあるが、97年ごろから徐々に販売先を事業者らに切り替えたとみられる。
 2000年から02年には、苦情は全国で毎年700件を超え、国民生活センターはことし1月中旬、「適用する法律がなく、センターでは対応できない」と断りながらも被害状況を公表する異例の措置を取った。

<事業者間の商取引>
 アイディックの節電器を買ったのは、小規模な飲食店経営者らの事業者。実質的には個人だが、店の名前などで契約していると事業者間の商取引と見なされ、消費者契約法や特定商取引法などが適用されない。各県の消費生活センターも打つ手がなかった。

 弁護団結成によって近く、各地で被害救済の方法が探られることになるが、アイディックはことし1月下旬に任意整理を開始しており、既に返済能力がないとみられる。提訴するにしても、購入の際のクレジット契約の無効を複数の信販会社に求めるしかない状況だが、それも簡単ではない。

 ある信販会社は「アイディックの商法に問題があったとしても、事業者からの解約は認められない。信販各社の契約額は億単位になるはずで、経営への影響も大きく、訴訟になれば徹底的に争う」と話す。

 一部の信販会社は逆に、アイディックの任意整理後、支払いを拒んでいた北海道や九州の事業者を相手に訴訟を起こすなど、代金回収の姿勢を強めている。
 提訴するには多くの被害者を集めて実態を把握する必要があるが、それも難航しそうだ。

<10万個販売300億円に>
 新里弁護士は「消費生活センターから救済策はないと言われ、あきらめた被害者がどこまで集まるか」と、これまでの悪質商法より被害者の掘り起こしが難しいことを認める。

 アイディックによると、これまでに販売した節電器は10万個、300億円に上るという。全国からの被害相談を受け付けた福岡県弁護士会の菅藤浩三弁護士は「仮に提訴しても、判決が確定するまでは時間がかかり、その間も買った事業者は支払い請求を受ける。早く被害の実態を明らかにし、訴訟だけでなく法改正も求めていきたい」と救済の道筋を示す。

http://www.kahoku.co.jp/news/2003/05/20030512t73023.htm

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