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2003年05月09日(金) 09時11分

5月9日付・読売社説(2)読売新聞

 [ネット自殺]「現実と向き合う強さを持とう」

 なぜ、こうも死に急がなければならないのか。

 インターネットの自殺関連サイトを通じて知り合った、主に二十代の男女による集団自殺が相次いでいる。

 連休明けにも、群馬県水上町で男女三人が自殺した。男性がネット上に「死にたい」という内容の書き込みをし、二人の女性が同調したとみられている。

 親しくもない者同士が合流して、簡単に命を絶つ。自動車などの密閉された場所で練炭を燃やし、一酸化炭素中毒死する、という手口も共通している。

 自殺者たちは、ネット上で「世の中が嫌になった」「生きるのがつらい」「一人で自殺するのは怖い」などと訴えていた。だが、親族や友人に悩みを相談していたという人は少ない。

 それぞれ学業や就職、交通事故などの問題を抱えていたようだが、真正面から取り組み、打開策を見いだそうと努めたことはあったのだろうか。

 自殺関連サイトには、依然として「パートナー募集」「一緒に逝きませんか」などと、自殺する仲間を募る内容の書き込みが続いている。ネット社会がもたらした陰の部分だ。

 若い世代には、豊かな時代に不自由なく育ったこともあってか、バブル崩壊後の厳しい現実に直面して、強い挫折感を味わっている人も多い、と言われる。

 自殺願望を抱いている若者が、数十万人規模で存在する、という医療関係者の見方もある。しかも、芸能タレント自殺の後追い“模倣”自殺が社会問題化したことがあるように、ネット自殺も、模倣連鎖的に起きている。

 若者が、引きこもりのような、孤立した状態にいることは危険な兆候だ。悩んでいる様子が見えたら、家族や勤務先の同僚が、手を差し伸べるくらいの思いやりを持ちたい。

 しかし、周囲のどのような支援があっても、最終的には、本人が自力で乗り越えていくしかない。

 自殺は現実からの逃避だ。家庭や学校で、現実と向き合う強さを身につける教育が、不足していないだろうか。

 電話での会話も苦手で、ネット上でしか本音を語れない、という若者が増えているとの指摘もある。

 ネット社会の拡大は押しとどめようがないが、ネット上だけで、他者と十分に分かり合えるはずがない。狭いネットの空間に没入していては、前向きな考えも浮かばないのではないか。

 互いに向き合い、全人的な交わりを通じてこそ、豊かな人間関係を築いていくことができる。

http://www.yomiuri.co.jp/editorial/news/20030508ig91.htm

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