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2003年05月06日(火) 07時04分

司法書士に簡裁訴訟代理権 身近な“紛争”解決担う熊本日日新聞


4月26日に始まった司法書士の特別研修で、熱心に講義を聴く受講者=熊本市の水前寺共済会館

 今年四月の法改正に伴い、司法書士が特別研修を受けて法務大臣の認定を得れば、簡易裁判所の民事訴訟や調停で代理人活動ができるようになった。県内でも県司法書士会(三百二十四人)などによる特別研修がスタート。夏にも市民に代わって身近な紛争解決を担う「まちの法律家」が誕生する。

 簡裁の管轄は請求額が九十万円以下の訴訟で、信販会社による立て替え金請求や個人間の金の貸し借り、物損事故の賠償請求、マンションの敷金返還請求など、身の回りのトラブルが中心。低額のため弁護士が引き受けるケースは少ない。

 熊本簡裁に昨年、新規提訴された四千四百二十三件のうち、弁護士がついたのは約3%の百三十六件。それ以外は当事者が自ら法廷に立っているのが現状だ。

 簡裁の訴訟には司法書士が主として関与してきたが、これまで訴状など書類の作成代行に限られてきた。「法廷での主張や反論は不慣れな本人に任せるしかなく、靴の上から足をかくようなもどかしさがあった」と県司法書士会研修部長の中村信二さん(40)。

 今回の改正で、司法書士は当事者に代わり、法廷での主張や尋問が可能になるほか、直接相手と示談交渉もできるようになった。中村さんは「提訴するか示談で済ませるか、紛争解決の選択肢が増えることに加え、交渉の矢面に立ちたくない当事者の泣き寝入りを防ぐことにもつながる」と強調する。

 四月二十六日から始まった特別研修には、定員六十人に対し、二百二十七人が受講を希望。県司法書士会は、過疎地域の会員を優先して受講させた。県内全域に散らばる司法書士が簡裁の訴訟代理を務めることで、司法サービスの地域格差を解消する狙いもある。

 一昨年まで弁護士ゼロ地区だった人吉市の赤池利光さん(71)は「代理人を希望する依頼者には今まで、熊本市の弁護士を紹介するしかなかった。早く資格を取ってほしいという市民の要望にこたえたい」と意気込む。

 阿蘇郡高森町の山村俊澄さん(46)も「専門用語が多い法廷のやりとりを任せてもらうことで、住民が安心して簡裁を利用できれば」と話す。

 研修は六月一日まで延べ百時間に及び、熊本簡裁の判事や書記官なども講師を務める。熊本地裁の中山弘幸所長は「司法書士が国民から信頼されて活躍すれば、簡裁の利用促進と審理のスピードアップにつながる」と期待している。

http://kumanichi.com/news/local/main/200305/20030506000042.htm

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