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2003年05月02日(金) 16時20分

イレッサ死亡の9割、警告前に服用 対策遅れ裏付け朝日新聞

 抗がん剤「イレッサ」を服用して副作用の疑いで死亡した173人(1月末現在)の死亡日や投与期間などの詳細が、明らかになった。死亡患者の9割は医師への警告が出された昨年10月15日より前に投与が開始されており、販売元の安全対策の遅れが副作用を拡大させたことが浮き彫りになった。厚生労働省は2日、イレッサの安全性問題検討会を開き、投与開始日を分析した資料を公表する。

 ■承認1カ月後

 朝日新聞社が入手した資料によると、副作用で死亡した173人のうち、16人の投与期間が不明。このため投与時期と死亡時期を検討できるのは157人となる。

 イレッサが承認されたのは昨年7月。この1カ月後の8月12日に開かれたイレッサの販売元のアストラゼネカ社内の会議で、肺の末端に炎症が起きるイレッサの副作用である間質性肺炎を懸念し「アクションを起こす必要あり」と結論づけている。

 医療現場では、副作用の疑いで死亡した157人のうち21人(13%)が、この時点までに投与を開始している。

 ■添付文書改訂

 医薬品の使用上の注意を記載した添付文書の改訂が必要との判断が示されたのは9月11日のア社の会議だ。だが、この情報は医療現場に伝えられていなかった。医師はそのまま投与を継続したとみられる。

 この時点までに死亡症例のうち、約半数の76人が服用を開始。

 9月13日に投与を開始した男性患者は、24日には呼吸困難を起こした。コンピューター断層撮影装置(CT)で間質性肺炎と診断されたがすでに手遅れで、26日に死亡。

 9月9日に服用を開始した別の患者は、15日の退院後も服用を継続、10月1日に胸痛で病院に運び込まれるまで異常に気づかず、7日後に死亡した。

 イレッサの長所は、自宅で服用できることだ。患者は医師から連絡がない限り、副作用の危険性を知る手段はないため、気づいたときには手遅れのケースが相次いだ。

 社内で添付文書改訂案が最終決定したのは9月27日。死亡症例のうち105人が、この段階までに服用を開始している。

 9月27日に投与を開始した50代の男性患者の主治医は、10月4日に間質性肺炎を疑った。だが、副作用情報を知らない医師は投与を継続。患者は20日に死亡。主治医は、情報がなかった問題点をア社へのリポートで指摘している。

 ■安全性情報

 厚労省の指示で、ア社が緊急安全性情報を出したのは10月15日。この日を境に副作用報告が殺到した。「警告」を受けた医師が患者を精査したことで、副作用報告が相次いだようだ。

 だが緊急安全性情報後に服用を始めた患者の死亡例は、1月末現在で12人しかいない。

 その後の厚労省の調べで、緊急安全性情報後に服用を開始した患者の死亡症例は約50人(全死亡症例の24%)に増えたが、同省は「警告をきっかけに、医師がより注意して投与するようになったため、死亡率も減った。情報伝達の大切さを示している」としている。(05/02 16:08)

http://www.asahi.com/national/update/0502/015.html

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