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2003年05月01日(木) 00時00分

発泡酒 今日から増税 ファミマひとり「値上げせず」 東京新聞

 五月一日の酒税法改正に伴う発泡酒増税で、コンビニエンスストア大手のファミリーマートが増税分を転嫁せず、店頭価格を据え置く戦略を打ち出した。実質的な値下げで顧客のハートをつかむのが狙いだが、ライバル会社は今のところ追随を見送る構え。単独の価格据え置き作戦は、果たして吉と出るのかどうか−業界や消費者の注目が集まる。

 (経済部・横光竜二)

 ■囲い込み

 「発泡酒を購入していくお客は平均単価の高いいいお客さん。この層をつかめば波及効果が期待できる」

 四月十八日、三百五十ミリリットル缶(百三十五円)で十円、五百ミリリットル缶(百八十五円)だと十六円の“値下げ”を五月から実施すると打ち出したファミリーマートは、理由をこう説明する。

 同社によると、顧客が一回あたりに使う金額は全国約六千のファミリーマート店平均で六百円前後。だが、発泡酒を買っていく客の90%は弁当や総菜、おつまみなどを「ついでに買う」ことが多く、平均単価はこれより数百円高くなるという。

 ビールではなく、低価格の発泡酒を選ぶ客の多くは価格に敏感だ。競合するコンビニ店が増税分を店頭価格に転嫁すれば、値段を据え置くファミリーマートの割安感が際だつ。同社広報部は「客数も売り上げも増加が期待できる」と強調。据え置きで発泡酒の販売数量が約一割伸びると当て込む。

 ■静観

 コンビニが、メーカーの希望小売価格に反して酒類を値下げした例は過去にもある。価格破壊が目立ち始めた一九九九年十一月、業界最大手のセブン−イレブン・ジャパンが安売り店に対抗するため、ビール価格を一缶二十円(三百五十ミリリットル缶)値下げし、各社が追随した。

 だが今回、ローソンは四月二十三日に増税分の価格上乗せを決定。セブン−イレブンも値上げする方針で、業界はファミリーマートの動きを静観する構えだ。

 そもそも、ビール各社が増税分を販売価格に上乗せしたのは「企業努力で吸収するのは難しい」(サッポロビール)と判断したため。ファミリーマートは差額分を本社と店舗で分け合って価格を据え置くが、コンビニ各社の間では「負担が大きすぎる」との見方が広がっている。

 ■先行き

 大手ビール各社は、値上げ前の駆け込み需要に備えて発泡酒の増産態勢に入っていた。昨年四月の出荷数量は業界全体で約二十二万キロリットルだったが、今年四月は三万キロリットル多い約二十五万キロリットルの需要を見込む。

 背景には、低価格を武器に売れ行きを伸ばしてきた発泡酒に対し「消費者の支持は根強い」との見方がある。〇二年のビールの出荷数量は、前年比10・9%減の四百三十五万四千キロリットルだったが、発泡酒は同15・6%増の二百五十七万六千キロリットルと着実にビールとの差を縮めつつあった。

 ただ、発泡酒への増税をきっかけに、この流れが暗転するという悲観論もある。キリンビールは「増税後の発泡酒の出荷数量は、業界全体で年間八万キロリットル減る」と推計。増税後、発泡酒より小売価格が平均で五円程度安くなる缶チューハイなど他の酒類に需要が移ると予測する。

 ファミリーマート約六千店のうち、酒類を販売している店舗は六割強。ビール・発泡酒が中心の酒類が店の売上高に占める割合は5−6%で、総額は五百二十六億円(二〇〇三年二月期)と柱の一つ。増税で発泡酒人気に陰りが出ると、同社の狙い通りには売り上げが伸びず、利益を圧迫する危険もはらんでいる。

 単独で価格を据え置く「ファミマ」の挑戦に、発泡酒ファンはどう動くか。


http://www.tokyo-np.co.jp/00/kakushin/20030501/mng_____kakushin000.shtml

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