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2003年04月24日(木) 00時00分

住基情報 行政の勝手許されない 東京新聞

 防衛庁が自治体から提供を受けていた情報の中に、個人の健康に関するものも含まれていた。国や自治体が勝手に個人情報を集めないよう法整備が必要だ。国会はもっと真剣に論議すべきだ。

 個人のプライバシーにかかわる情報が、国や自治体によって自由に使われるようでは、国民の基本的人権が侵害される心配がある。

 自衛官募集に利用するため、防衛庁が住民基本台帳のデータ提供を受けていた自治体は、約八百市町村にも上った。

 うち三百三十二市町村の情報には、住民基本台帳法で閲覧が認められている住所、氏名、年齢、性別の四情報以外に、保護者や電話番号、職業が含まれていた。

 中には、個人の健康状態の情報も入っていた。健康状態は、思想・信条とともに、個人の重要なプライバシーにかかわる。国や自治体が、住基台帳情報とともに、個人のプライバシーに関する情報を集めて、勝手に使うことは許されない。

 石破茂防衛庁長官は「外部に提供された例はない」と国会で答弁した。内部資料にしても、自由に情報を集積してよいわけはない。

 国会で審議中の行政機関個人情報保護法案には、個人の思想・信条や健康状態などプライバシーにかかわる情報の収集を禁止する規定がない。野党案は「センシティブ情報禁止」の措置が必要だとしている。

 防衛庁の今回の住基情報収集のケースをみても、政府案のまま法案を成立させれば、個人の人権保護の面で将来に禍根を残すことになりかねない。与党は同法案の衆院通過を急がず、さらに審議の中で欠陥を是正する努力を真剣に行うべきだ。

 今回のケースでは、国が日常の業務として、プライバシーを含む個人情報を求め、多くの自治体が安易にそれに応じていた。行政機関の間で、いかにずさんな情報提供が行われているかの一端を見たようだ。

 住民基本台帳をコンピューターで一元的に管理する「住民基本台帳ネットワークシステム」が八月に本格的に動きだす。

 住基台帳ネットワークでは、四情報を利用できる行政機関を法律で定めるとともに、目的外使用を禁止している。しかし、国の行政機関や自治体に、個人情報保護を厳しく義務づけないかぎり、個人情報の漏えいが起きないという保証はない。

 政府案は公務員による情報漏えいに対する処罰が不徹底だ。しかも目的外利用に対する行政の裁量権が大きすぎる。与党側は柔軟な姿勢で法案の修正に応じる必要がある。


http://www.tokyo-np.co.jp/00/sha/20030424/col_____sha_____002.shtml

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