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2003年04月24日(木) 23時11分

麻原被告公判、検察側論告要旨産経新聞

 東京地裁の24日の公判で、オウム真理教、麻原彰晃被告(48)=本名・松本智津夫=に対する検察側の論告要旨は次の通り。(教団関係者の呼称略)

 【事実関係】

 ▽総論

 被告は1984年ごろ「オウム神仙の会」の名称でヨガ教室を開き、超能力が身に着き「解脱・悟り」の境地に達すると偽り会員を募集。チベット密教などの影響を受け宗教色を濃くし出家制度を創設。「グル」(宗教的指導者)の指示なら殺害も正当な行為と説き、殺人を意味する「ポア」も崇高な教えとした。

 87年7月には「オウム真理教」と改称。88年ごろからは自己が教祖として崇拝される社会の実現を目指し、違法行為や反社会的活動をいとわなくなっていった。教団は89年に宗教法人となり、社会とのあつれきを深化させた。坂本堤弁護士がマスコミに教団の情報を流したと決めつけ同年11月に坂本弁護士らを殺害。幹部とともに立候補した90年の衆院選で全員落選、社会全体を敵対視し、国民の大半を抹殺した上での専制国家建設を企てるようになり、無差別大量殺りくを教えの1つとした。サリンの生成方法を確立し94年には「省庁制」を採用、同年6月に松本サリン事件、95年には地下鉄サリン事件を起こした。

 ▽各論

 一、坂本弁護士一家殺害事件

 89年6月に「被害者対策弁護団」が結成され、教団と交渉していた坂本弁護士は民放のインタビューで教団を批判、早川紀代秀らは放送予定のビデオを見せてもらい、被告は坂本弁護士を放置すれば、欺まんが暴かれると強い危機感を抱き殺害を決意。早川ら6人に殺害を命じた。

 被告は「家族も一緒にやるしかないだろう」と計画を変更。6人は坂本弁護士、妻都子さん、長男龍彦ちゃんを殺害した。被告は「3人殺せば死刑だな。指示をしたわしも同じだな」と言っており、全員の殺害を指示したことは明らか。

 一、松本サリン事件

 教団の松本市進出に対し、住民が反対運動を起こし長野地裁松本支部は施設の建築工事禁止の仮処分申し立てを認め、被告は裁判所と住民らの動向に強い反感を抱いた。サリンの効果を実験しようと企て、裁判官と付近の住民の殺害を決意。新実智光らに「サリンをまいて、効くかどうかやってみろ」と指示。実行犯7人は94年6月27日、サリンを散布。28日に新聞記事の内容を知らされた被告は「まだ原因が分からないみたいだな。うまくいったみたいだな」と満足した。

 一、地下鉄サリン事件

 間近に迫った警視庁の強制捜査への対応策を話し合う「リムジン謀議」で、被告が村井秀夫に総指揮、井上嘉浩に現場指揮、遠藤誠一にサリン生成を命じ、いずれも了承、共謀が成立した。電車内に残されたビニール袋内の液体からサリンが検出されたことなどから、散布されたものがサリンであることは疑いの余地がない。被害者はサリンに被ばくし死傷した。

 被告が本件無差別大量殺りくを村井らに指示したと認められ「ストップを命令したが結局、彼らに負けた形になった」との弁解は全くの虚偽。被告が無差別大量殺りく計画を策定し、村井らに指示して遂行させた。

 【情状関係】

 ▽個別事件の情状

 一、地下鉄サリン事件

 国民に消し去ることのできない強烈な衝撃と恐怖を植え付けた犯罪史上、最も凶悪な犯行。無防備な一般市民に対しサリンを使用し、人間性や宗教性のかけらも見いだせない。首都を大混乱に陥れれば教団に対する強制捜査を阻止できると考えたもので、発想自体が身勝手極まりない。

 本件犯行で殺害された被害者は12人で、世界的にも最も凶悪な犯罪の1つ。被害者はたまたまその場に居合わせたため事件に巻き込まれた。何が起こったのか全く理解できないまま、尊い生命を次々と絶たれ、無念さは想像を絶する。

 被害者の遺族らは被告に対して極刑を求めている。事件発生から約8年が経過した現在も被害者や遺族が受けた精神的、肉体的損害を慰謝するに足りる措置は取られておらず、被害者らの現状は誠に悲惨だ。良好な治安への社会的・国際的信頼を動揺、失墜させる契機となり、世界各国でテロへの不安と恐怖を募らせる結果も招いた。

 一、松本サリン事件

 地下鉄事件と並び犯罪史上類例がないほど残虐非道かつ極悪卑劣な犯行で、被告は首謀者として最も重い責任を負うべきだ。多数の人命を奪うのに何らのちゅうちょも覚えず、人間性のかけらもうかがわれない。

 サリンの殺傷力を人体実験で検証し、敵対者とみなした裁判官の抹殺をも企て、りつぜんとせざるを得ない。司法制度を根底から破壊しようとした言語道断な犯行。殺害された被害者は7人に及び結果は重大で悲惨極まりない。遺族らの処罰感情は峻烈(しゅんれつ)で、慰謝するに足りる措置も取られていない。

 一、坂本弁護士事件

 教団の敵対者とみなした坂本弁護士を家族もろとも殺害した冷酷非情、卑劣極まりない凶悪犯罪であり、宗教性などみじんもなく、冷酷非情な殺人集団による犯罪としか認められない。

 正当な弁護活動を行っていた坂本弁護士を、敵対行動を行っている張本人と決めつけ家族もろとも殺害し、動機は短絡的かつ身勝手極まりなく酌量の余地は全くない。被告は実行犯の役割分担など細部にわたって指示した。事件への関与を全面否定し、教団こそが被害者と主張、犯行後の行動も卑劣である。

 教団信者の家族のために活動した坂本弁護士にとって、家族の生命まで奪われた無念の思いは察するにあまりある。都子さんは幸せな家庭を築いていたところ生命を奪われ、龍彦ちゃんは1年2カ月余の幼児で人生を歩み出したばかりだった。

 坂本弁護士の母、さちよさんは3人の帰りをひたすら待ち続け、部屋の賃貸借契約を継続。龍彦ちゃんの衣類については成長を考慮して幾度も買い換えるなどし「全員、死刑という刑罰を与えてください。それでも足りないくらいです」と極刑を求めている。正当な弁護活動を行っていた弁護士が家族もろとも殺害され、司法秩序の根幹を揺るがしかねない許すべからざる犯行である。

 ▽全体情状

 被告は自己の権威を守り、権勢欲や支配欲を満足させるためだけに本件各犯行を指示した。本件各犯行による死者は計27人に上り、わが国の治安を根幹から揺るがした。これほどの凶悪重大犯罪を繰り返した者はなく、被告は犯罪史上最も凶悪な犯罪者というしかない。被告は自己の犯行の大半を弟子たちが勝手にやったなどと弁解するなど改しゅんの情も認められない。

 ▽被告の刑事責任

 被告がいずれの事件でも首謀者であることなどを考慮すれば、罪責はあまりにも重大で極刑以外あり得ない。

http://www.sankei.co.jp/news/030424/0424sha134.htm

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