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2003年04月17日(木) 14時59分

携帯向けテレビ放送延期 地上デジタル、特許使用に壁朝日新聞

 「電車に乗っていながらケータイで野球中継が見られるようになります」。そんなうたい文句で期待されていた地上波デジタル放送での携帯電話向けテレビ放送が、12月の放送開始に間に合わないことになった。日本民間放送連盟(民放連)とNHKが朝日新聞の取材に認めた。テレビ映像の受信に欠かせない技術の特許を使えるめどが立たないためだ。国のIT(情報技術)戦略の要とされる地上波デジタルの予備免許は18日に交付されるが、世界でも先例がない携帯電話向け放送はいつ始められるかの見通しも立っていない。

 地上波デジタル放送は(1)髪の毛が1本ずつ見えるほどの高精細画質とCD並みの音質(2)ニュースや天気などの情報をいつでも利用できるデータ放送や双方向機能(3)自動車内のテレビや携帯電話、携帯情報端末など移動体向けに固定受信機と同じ画質の放送ができる、が特色だ。(1)と(2)はすでに00年12月からBSデジタル放送で実現している。

 現在のアナログ放送や衛星放送でもできなかったのが(3)。総務省放送技術課によると、日本独自の地上波デジタル放送方式によって可能となった。地上波デジタルで先行した欧米でも携帯電話向けのテレビ放送は実現できておらず、世界初になるはずだった。放送局や携帯電話会社側も、力を込めてアピールし、展示会に試作品を展示したりしていた。

 アンテナの小さい携帯電話へ放送局から電波に乗せた映像を送るためには、デジタル化された映像情報を圧縮する技術が不可欠だ。

 放送局側が当初採用しようとしていた圧縮技術はMPEG(エムペグ)4。問題となったのは使用料だ。民放連やNHKによると、放送局側は送信設備代に含めた一括支払いの方針だが、日米などのメーカー20社で構成する特許保有団体は、携帯電話などの移動端末の利用時間や利用台数といった実績に応じた支払いを求めているという。

 民放連やNHKは、こうした支払い方法は前例がなく、採算面でも放送事業になじまないと判断。両者で連携して別の圧縮技術を使う道を模索し始めたが、いつ解決するかは見通せない状況だ。

 民放連でこの問題に取り組んでいる前川英樹・TBS上席執行役員は「特許問題が解決しても送信設備の準備にはそれから1年ほどかかるだろう」とみている。ある携帯電話事業者は「ユーザーの需要は高いと思うが、放送局の方針がはっきりしないと机上の空論に終わりかねない」と当惑する。

 地上波デジタル放送の免許で各放送局に与えられる周波数帯域には、携帯電話向けの帯域も含まれているが当分使われそうにない。総務省地上放送課は「携帯電話向け放送は地上波デジタルの免許認定の要件ではないので、免許交付には影響ない」としている。

          ◇

 <地上波デジタル放送> 今年12月から東京、大阪、名古屋で始まり、06年にはその他の地域にも拡大する次世代テレビ放送。現在のテレビ受信機では見ることは出来ず、専用の受信用機器が要る。総務省の計画では、11年までに全世帯に普及させ、現行のアナログテレビ放送はやめるとしている。

(04/17 14:58)

http://www.asahi.com/national/update/0417/022.html

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