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2003年04月12日(土) 00時00分

吉永の産廃場計画、三セク撤回へ朝日新聞・

 10年余りにわたって吉永町を揺り動かしてきた産業廃棄物最終処分場の建設問題が、急転直下で、「円満解決」に向けて動き出した。計画していた第三セクター「スリーエー」の谷幸児社長が11日、同町に計画の白紙撤回と、岡山地裁で審理中の行政訴訟の取り下げを表明した。水源の安全などを訴えて、同社と激しく対立してきた住民や支持者らは、「水が守れる」として、おおむね歓迎しているが、「なぜ、もっと早く撤退できなかったのか」「裁判で勝って、水源地には産廃処分場は造れない、という判例を作りたかった」という複雑な声も聞かれた。

 県庁での北川禎昭・吉永町長らとの会談を終えた谷社長は「スリーエーにとっては、非常に不幸な結果として今の状況がある。しかし、これを糧に、新しい社会のニーズにこたえていきたい」と淡々と話した。一方、北川町長は「これで終わりか、という気持ちの町民もいる。全員に納得してもらうには時間がかかるが、了解してもらうよう説明したい」と語った。

 同社は、町側の回答を待ったうえで、被告の県との訴訟の取り下げなどに
ついて、協議を始める方針。同社側の永井一弘弁護士は、今後の見通しについて「町との交渉がまとまった段階で、法律的な手続きをとることになるだろう」と話した。

 住民らの受け止め方はさまざまだ。

 計画は地域に大きな亀裂を残した。予定地だった大藤地区近くに住む女性は「長い間、みんなが苦労してきただけに、うれしい」と言いながらも、「素直に喜んでいいのでしょうか」とも。末井健吾区長は「計画が持ち上がってから、10年が経過していて、やれやれ、という感じ。地域振興の面で実現しなかったのは残念だ」。

 反対運動の中心メンバーの岡本富美子吉永町議(53)は「撤退するなら、もっと早い時期にしてほしかった。水源地には処分場を造らない、との判例を勝ち取りたい、との思いで運動を続けてきたので、複雑な思いもある」と語った。

 産廃問題に取り組む各地の首長らも、今回の計画撤回に注目している。

 吉永町の技術顧問として、処分場計画の話し合いに参加していた岐阜県中津川市の中川鮮(あきら)市長は「取り下げになれば、判決が出なくても住民の主張が認められたことになり、全国の産廃処分場問題に大きな影響を与えるだろう」と指摘する。

 「全国産廃問題市町村連絡会」の会長を務める柳川喜郎・岐阜県御嵩町長も「県も厚生省も認めない全国初の例だっただけに注目していた。全国の産廃問題の解決にすぐに直結するほど甘くはないが、『不条理極まりない産廃計画は不可能なんだ』と全国で最初に示す頂門の一針(いっしん)となった」と評価する。

(4/12)

http://mytown.asahi.com/okayama/news02.asp?kiji=2988

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